10.明治7年5月9日

高精細画像を見る


                 つけ
 
五日出御便り七日夕着、有難拝見申上候、
不順の時かふ候へ共、
君ます/\御機嫌よく被為入候御事、
何より/\有難/\存上奉り候、扨五日
出御書状拝見、 君御誕生日付、職方
之者へ御酒御肴御ふるまひ大喜との御書状、
ま事置ても御嬉しく/\、御りつば
御勤戴、御勇しく御悦との御書状にて、
ま事嬉しく/\/\、おかしな事申上候様
候へ共、御手紙ふところへ入置、度々出し
拝見いたし候て心うれしく、
君よりヶ様成御手紙戴候と、こんな嬉しき
なく、有難/\/\存上候、内ニ而も御肴
にて御悦致し可申と存候所、六日大風雨ニ而
御肴更/\なく、其内吉事三寸計のかれい
持参り候間、夫いきて居候まゝ、夫ニ而
御かけ膳ニ而御一所戴候心ニ而いわひ参らせ候御事
有難かり参らせ候、昨日御請申上たくと存上候所、
ま事時かふあしき御寒く所、七日夕より大雨、
八日風雨、其せいかとふも腹いたみ、昨日あたゝ
まり居、今日大き宜、御請申上候御事御座候、
くれ/\も御勇しく御勤戴、御かけを以私も
人様たてられ有難、女ふせいかまいくれ候人
なく候へ共、皆、旦那様の御かけ様計と有難
/\/\暮居候まゝ、私より余りヶ様の事申上
候て御奉公の御じやま成候まゝ、申上まじくと
存候て、つい/\申上済不申なから、とふぞ/\
御用済御成遊し候ヽ、一日も御早く御帰り
遊し戴たく、ま事心ぼそく、此たんひとへ/\
願上候、昨ばんの夢十六日比ニハ帰るとの御便り
御書状拝見の所見、やれ/\嬉しや/\と
存候へ、夢ニ而がつかりいたし参らせ候、左様の分ニハ
参り不申や御きかせ願上候、御屋敷内ニ而
飯田さん十三とう出仕御成、市橋も
ゆふ便役所へ勤、高崎も何方へ相勤候
やう相成り候間、 君もとふそ/\/\/\
御勇しく御勤戴たく候間、御留守番は
との様も大切、人々もわられぬ心かけ
守り候間、御勇しく御勤御用済のうへ御帰り
ひとへ/\願上候、くれ/\も私腹合もさつ
はりなをり候間、御あん心願上候、御道中は
いかゝ哉、東京ま事わるき時かふゆへ、丈ふなから
壱人もなくせいか、少々充(ずつ)の事御座候へ共、
ぢき宜相成り候、付も 君御あんし
申上、余り長々相成り御召の御都合も
御わるくと、ま事気かもめ/\参らせ候、
くれ/\も御誕生日御賑々しく御祝との御書状、
有難/\/\存上候、何も御請迄、万々年/\/\
               めてたくかしく
        なを/\めてたくかしく
         五月九日出ス
 
     御請
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中