11.明治7年5月13日

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 御道中はいかゝ哉、東京ま事御寒く
 朝なぞ足袋はき候様御座候、
 君ます/\御機嫌よく時かふの御障りも
 あらせられす候との御左右伺、ま事有難/\/\
 大々安心/\/\致候、扨八日出御書状十日夕
 八時比着拝見、御発句ニ而ま事心精々と
 いたし、有難/\御嬉しく存上候、私も
 とふそ一句と存候へ共、とふ致候ても出不申、
 君のを其まゝ戴候、
   封きつてふさきし心
      とこゑやら
 とふそ御直し願上候、私の心旦那様より御書状
 いたゝき候程嬉しき事は御座なく候、御衣類ミな/\
 損し候との御事、御尤さま/\/\、夫是先便も申上候
 通りま事きがもめ候間、一度御帰り祈々
 居まいらせ候、私事申上候程の事もなく候へ共、
 十日夜少々腹合あしく外の事共ちかひ
 余儀なく此度小達かゝり薬もらい、夫ゆへ
 八日出御請遅り御めん被下候、腹そんな大き
 くもなく候へ共、小達・いわひ共ま事よき御身入と
 申くれ候、御安心被下候、其せいかま事ひとく
 うごき、きみのわるいよふ御座候、とふそ/\
 当月中せひ/\御帰り厚々祈居まいらせ候、
 実とんな深切成人参りくれ候とも
 君御心添て戴候わけととふしても并
 不申、心中御さつし被下候、白川御覧場所も
 あらせられす候よし、御きの毒さま、猶更御早く御帰り
 御待申上候、峯さんへ上候品も早束御返事戴き、
 直上候事御座候、御衣類等旦那様御身廻りの
 事人頼候様成事ニてハ家内の役か済不申、
 大きんもつ候へ共、御道中入せられ候内はま事
 致方御座なく、御跡の御よごれ物其まゝ御つゝ込
 御帰り願上候、たとへ只今出来不申様成候ても
 冬迄ニハとの様もいたし候事御座候、御かけさまニ而私も
 丈ふそふ候まゝ、生落としさへ致候へ身がるも成
 候間、との様も廻し候つもり、手なべさけても
 主の側、たとへの通り苦ニハ成不申候、くれ/\も
 御留守番との様も大切守り候間、此度は
 とふそ御寮(電信寮)の方へも御さいそく被遊戴、当月中ニハ
 せひ/\御帰り願たく祈居まいらせ候、
一此程一寸御咄し申上候佐藤儀、自分方ニ而さがし
 大きと(大木戸)辺へ家もとめ、廿日比引移り候よし
 昨日賢次郎参り咄し御座候、当日大きどの
 方へにしめ・御むすひニ而もこしらへ遣し候と存居候、
 とても私参られ不申、断候つもり御座候、
 実昨今内のうちさへかけてあるき候分ニハ
 不参様成候間、とても参り手伝候分ニハ不参、
 断候つもり御座候、何も御請迄、早々 めてたくかしく
       なを/\めてたくかしく
        五月十三日出ス
 
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中