十九日出御書状廿二日着、有難/\/\拝見
申上奉りまいらせ候、不揃の時かふニ候へ共
君ます/\御機嫌よく御勤戴候御事
何より/\、こんな有難御事ハ御座無く、
有難/\存上奉り候、扨発句御直し
戴き、ま事ニ有難/\、実ニ恐入/\、繰かへし
拝見、成程こふ出候半ハ分り不申、実ニ
とふ致たらヶ様の句出来候と恐入/\
拝見、有難/\/\/\/\存上候、実ニ毎の御便も
ゆふ便の人より受取ヲ待兼、引やふり拝見
いたし候事ニ御座候、此句の御通りニ御座候、
一いろ/\伺候、君御召の御事、出生ゆかたの事、いそ
給金の事、七夜の事、御細やか様ニ御返事戴
有難/\/\/\、何もかも御書状の御通りニ致候
御事ニ御座候、大こん豆の御返事大わらひ/\/\
いたし候事ニ御座候、御廻り物之儀ニ付鶴田さん(※1)
東京へ十八日ニ御出の由、左候ハヽ其内廻り候
御事と御嬉しく/\/\、とふそ/\/\一時も御早く
御帰りヲひとへニ/\/\/\/\願上候、
一峯さん御事、遠田申候ニハかん脚気と申のニ
候よし、春中よりとかく何かゞ御気ニ御成の御様子、
御かんおこり居候へ共、御けいこ事御なまけ
ゆへ、私もいろ/\申候へ共、全く脚気の初りと
相見、御かんゆへ何事も御きまかせか宜との
事ゆへ、此節ハ寝たりおきたり計ニ御座候、
病気ニハ致方なく候へ共、けいこざかり、ま事ニ
気のもめ候事ニ御座候、寝きりハわるくと
申事ゆへ、御膳御薬の節ハ、二階の節ニハ呼
おろし、御あるかせ申候事ニ御座候、顔まで
しびれると御申ゆへ、私もま事ニ心配/\ニ
御座候、私ハま事ニ日増ニ大丈ふ、御膳もおいしく
此節ハ寝あせもさつばりとなをり、
昼うごき候間くたびれ、随分よくふせり、
しかし小用ハ前夜少くて四五度ハ参り、御わらい
被下候、昼もま事ニ気分宜、有難/\/\、所々
の方々御申ニハ、うなき・土せう・あわひ折々
御上りか宜とたひ/\申くれ候間、折ふし
戴候事ニ御座候、食物の事ハ兼て
君より仰置戴候事ゆへ気を付候へ共、
新助(※2)参り、ま事ニやかましく申候事ニ
御座候、昨今ハだん/\下りひどくうごき
胸かすき、もはやゑご/\ニ成まいらせ候、
折ふし下腹へはり、あるかれぬ様ニ成まいらせ候
安藤ばァさん計て宜と存候へとも、
とふもむすこ出来不でき御座候様子ゆへ、
一昨日嶋崎へ頼遣し候へハ御新造夜分
参り、当年初て御屋敷内へ入候と
申、其節ハ何時ても上り、御様子次第
ニハ前より泊り候ても宜、又夜分上りと
申、昼ハはいり兼候と相見候、きの毒の
事ニ御座候、何れもよき返事致くれ候はミな
君の御光り計、私へ致候事ニハなくとそんじ、
幾重も/\有難/\/\/\事ニ御座候、嶋崎
およし事暮ニ見合候よし、直ニ出来、当月
帯のよし、ま事ニこまると御新造申居候、
春中よりかけんあしくよし承り候
間、有合の品もたせ、たひ/\尋置候、左候ハヽ
一昨はん参り御新造の咄しに御座候、
一さとうへ遣し物の御事も仰戴有難/\、
八寸重へ御膳一重、五色にしめ一重、六寸
重へ煮肴百疋分、右ヲいそニもたせ
遣し候へハ、殊の外の有難かり、大たす
かりと申、御道中へ宜々と申越参らせ候、
御かけ様ニ而私がいぶん宜、はな高ニ而
こんな有難/\と存暮候事ハ、生出
初てニ御座候、是まて自分の内と
そんし暮候事は一日も御座なく、ま事ニ
はしめて自分の内と存、こんな嬉しい
事ハ御座なく、有難/\/\/\/\/\存上候、
御早く/\/\/\御帰りヲ願上まいらせ候、
万々年/\ めてたくかしく
なを/\万々年 めてたくかしく
五月廿四日発ス
旦那様へ 申上 つけ
人々御中
人々御中
※1 鶴田さん…敏克の同僚。工部省電信寮・お役人。他に笹間、水谷、添田氏などが登場する。