16.明治7年5月25日

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 廿一日出御書状廿三日着、廿三日出廿五日着、有難/\
 拝見申上候、ます/\
 君御機嫌よく被為入候御事伺、いか程も/\
 有難/\/\拝見申上まいらせ候、扨御召御持参
 の分不残御ほろ(母衣)成候との御事、何れも
 其つもり、ほろ成候程御はたらき戴候
 ま事有難/\/\、御先へ御廻し戴候へ猶更
 有難、左候ヽ私うごかれ候内手を入候御事
 御座候、宿やの夫婦其外下男等よく/\
 御世話申上候よし御伺せ戴有難/\/\、夫で
 まつ/\少しあんしん致候、ほぐ(反故)の御事も
 かしこまり/\まいらせ候、廿三日出ニ而峯さんの
 御返事も伺、仰の通り致候御事御座候、
 此節御手明成せられ候よし、御茶御菓子ニ而
 御暮しの由、御やすき御事、御丈ぶニ而御上り物
 御甘く召上りと伺候へ、何寄/\有難/\/\
 存上奉り候、月給の御事つい/\不申上、
 御めん/\遊候、月々廿日比間違なく
 笹間様迄戴上け戴居、らく/\と暮居まいらせ候、
 ま事有難/\/\御事御座候、もはや其内私
 うごかれぬ様成そう、左候へ峯さんも御病気
 中、何願候事も出来不申、何事もいそまかせ
 金子の出し入もこまり候間、私うごかれ候
 内、すみなそも三四俵も取入置可申と存居候、
 まき北沢ニ而沢山取入置、大あんしん御座候、
 君御留守ニ而ま事こまり、私うごかれぬ様
 成候と、客のあいしらい勝手の事とも
 いそ壱人、実私もま事心ならす候へとも
 とふも致方なく、其節気を落付置候
 つもり御座候、
一当月廿四日夕方鶴田さん御出被下、いろ/\
 御親切仰被下、君の御様子も委しく
 伺、ま事大々あんしん/\有難/\/\、
 とふかきかい(灯火機械か)御引つれ御立のよし、夫計ニ而
 済候へ六月十日比ニハ御用済のよし、
 又一ッ局仰蒙り御成遊候と六月中御かゝり
 との御咄し、ま事こまり入候事御座候、
 右ゆへ御召等御廻し成候へ、私慥持参
 可申と、御細々仰被下候ゆへ、実問合候所、
 もはや廻ス不及と申越候へ共、ま事
 よき御序ゆへ、夏御よふふく計此別紙
 の通り御廻し申上候、御ゆかたも廻し可申と
 そんし候へ共、御道中ニ而御こしらへのうへえ
 又廻し候て御荷物多成候計ゆへ、是は
 見合、御廻し不申上候、御茶少々差上候、
 鶴田さん御出の節ろうそく御めに懸候事
 大ひつねん、実鼠も心配ゆへ、願物もたせ
 上候節、いそろうそくも二百七十五挺
 もたせ上候、御承知申上置候、内ニ而も其内
 出産等の節入可申、ま事沢山御座候、
 心丈ふ御座候、実不足なく暮し、勿躰
 なく、 君の御かけ様計りと有難/\/\
 存上奉り候、どふそ建築計りの御用ニ而
 御帰りの様祈々々々居まいらせ候、鶴田様へ
 願候節、少々計の御菓子上候、御承知申上候、
 鶴田さん御内御おしへ被下候に、絵づまて
 御認置被下候、御礼宜願上候、
一尾州へ便りの御事仰戴、ま事恐入/\候、
 尾州よりこそ君の御機嫌も伺不申、私も
 ま事済ぬ事と存候へ共、真平/\御めん遊候、
  わたくし生れ出候内なくと存きり候、
 しかし母より当春一度便り致し、とふそ目の
 黒き内、そなたの 旦那様へ一度ニ而宜御めに懸、
  わたくしの事願置たくと申越候、わたくし
 懐妊の御事承知いたし、夫/\歓々こし
 まいらせ候、御内の様子も見たいなそと申越候、
一新助昨日御礼参り、ま事大有難かり/\
 御道中へ厚御礼申上たくと申置まいらせ候、
 何も/\よき御序ゆへいそき/\認、御廻し
 申上候、万々年 めてたくかしく
  なを/\ めてたくかしく
   五月廿五日願置
 別紙送り書
  一御づぼん   壱ッ
  一御むね懸ケ  壱ッ
  一御ちよつき  弐ッ
  一御しやつ   三ッ
  一御茶     弐袋
 右の通り御廻し申上候
 
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中用事