18.明治7年6月6日

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 六月二日出御書状四日着、有難/\拝見
 申上候、ます/\御機嫌よくとの御左右
 伺、誠を以大安心/\致候、御廻し物送書
 の通り御受取のよし、是又安心御茶も
 御歓戴、有難/\/\、又候局の事御取懸
 のよし、重々の御用御蒙り、ま事有難と
 申上たく候へ共、又御帰り延候事と、ま事
 がつかり致まいらせ候、
 君御写真、母へ戴かせ候様仰戴、ま事/\
 有難/\/\、どの様有難かり候事と私
 をき、有難/\/\、其内よき序も候ヽ早々
 戴かせたくと楽しみ/\/\有難かり/\まいらせ候、
一三日出御書状六日着、是又有難/\拝見
 申上候、ます/\御機嫌よくとの御事
 有難/\/\、大安心/\、心落付まいらせ候、
 名文字御返事、早束戴、賢次郎への
 御書状も参り候ヽ、早束戴かせ候御事御座候、
 君御留守中と申、佐とう夫婦折ふし
 参り、食物ま事やかましく申、
 君の御代りせわやくと申、帰りまいらせ候、私
 ま事大丈ふ水気等も更になく、御膳誠
 おいしく、朝々おいしく、只々日増
 身おも、すでに当月 三日どふかと存
 候様はり参りかんがへ居候所へ、丁度
 小達御留守中も候半、もはや御間も御座
 なく御様子伺候うへ御まくり早メ差上
 置可申と申参りくれ、もはや誠
 御ちかより此御様子ニ而ハ岩井呼被遺、
 見て御もらい可宜と申候間、頼遣し候へ
 早束参りくれ両人共十日前後と
 申まいらせ候、只今の所ニ而ハ御腹御申ぶん
 なしと申まいらせ候、用場へ一時内三四度
 充昨今参り候様相成りまいらせ候、夫ほどに
 成候ても御膳おいしく、跡せつなくゆへ御三盛
 内ときめ置候へ共、昨今夫でも跡せつなく
 なりまいらせ候、市橋子ま事大丈ふゆへ
 あやかり候様、待受こしらへ候もゝ色
 もめんよだれかけ、二ッ内一ッ、今日やり
 候へ、御新造夫/\歓々かけてやり候
 のを、直はづし、余そ行と申、仕まい
 込、大わらい致まいらせ候、昨年も御取戴候御まくの
 切、緋金きぬ待受袖口不残かけ、
 又市橋子玉村おあいの子、き物袖口二かけ充
 やり候へ、歓々々こしらへ候て参り
 まいらせ候、夫も是も 君の御かけさまニ而
 人々御じきを致スと、実/\有難/\/\
 御事御座候、此程申上候鶴田さま御分
 ろうそく百五十挺残り居、夫今日女中
 并此度御召連職人女房のよし、両人
 取被遣、御渡し申候間、御承知申上候、
 右御人といろ/\咄中へ御便り着、御帰り
 の知れぬ事、鶴田さま御宅へも申上まいらせ候
 御事御座候、右人帰り候跡へ岩井参り
 もはや誠御近より、私か御引受申候
 間、 旦那様御留守さまニ而も、けして/\
 御心細く思召事なくとしかり付まいらせ候
 此扇先年此旦那様戴候のと申、
 持参り見せまいらせ候、人さま御出、私の気の
 やすまる様思召、御留守ニ而もけして/\
 御安事なくと申くれ候へ共、私心中は
 どふしても右様存られす、毎より顔へ
 出候と相見まいらせ候、私一日庭へ出不申と
 両どなりより尋くれまいらせ候、此節
 ばら月見草・霜つけ、其外草花
 さかりニ而、よき/\慰いたし、水くみ候人々
 足がとまると申まいらせ候、毎朝目覚候
 やう色よくさき、心持宜、有難/\/\存上候、
一七夜の節も、岩井小達計ほんとうの
 ぜん部ニ而たへさせ、跡の人々
 君も御留守、私もうごかれす御愛走
 いたし候人なく、たべ候人もこまり候事
 ゆへ、有合の物ニ而たへさせ置、御帰りの
 うへ、私も丈ふに成候其うへニ而ふるまい
 可申つもり心落付居まいらせ候、夫ニ而宜や
 伺置候、岩井小達も帯祝の節の様に
 引肴付いたし候物候哉、実
 此御時節余りりつばすき、私勿躰
 なくと存まいらせ候、是も御返事願上候、
 もはや何時御帰り被遊候て宜様、御召
 御入かへ等もいたし、手明ゆへ御袴地あらい
 致し、所々きれ居候所もつき、
 君御じゅばんま事ひどいのりニ而しまい
 御座候間、 君のり強き御きらいゆへ
 あらい落し、半衿も宜きのかけをき、
 毎御帰り被遊候ても、御差支もなき様
 いたし置候つもり御座候、いそ私の出来、
 候たけ一心致候間、けして/\御気をもみ
 のなき様と申、誠/\よく世話致
 くれ、一通りの奉公人と存られす、歓候
 事御座候、誠気分宜候へ共、せい/\
 申ながら認御はんし被下候、世間の
 旦那方の咄し承り候と、内の
 旦那様の様成御心の方壱人もなく、
 実/\/\私有難/\/\、いろ/\御咄し
 いたし候夢見ぬ夜御座なく候、
一峯さん日増御宜ゆへ御安心/\/\遊候、
 何も/\万々年/\/\めてたくかしく
     なを/\めてたくかしく
     六月六日発ス
 
旦那様へ 申上     つけ
     人々