19.明治7年6月12日

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 六月九日出御書状十一日着、有難/\
 拝見申上候、 君ます/\御機嫌よく
 との御左右伺、ま事/\安心/\/\有難
 存上奉り候、扨七夜等の事伺候へ、一々
 御返事戴、有難/\/\安心いたしまいらせ候、
一なを出生宮参り衣地もはや御求
 戴候よし、ま事/\有難/\/\、私仕舞
 御座候絽ニ而結構と存居候所、もはや御こし
 らへ戴候よし、存よらぬ御事、仰戴候通り
 染色等かんかへ置候御事御座候、佐藤其外へ
 御伝言有難/\かしこまりまいらせ候、
一先比仰越させられ候御召等入油紙包、
 今十二日着、新橋森本と申所より持参、
 かみさんらしき者差添ゆへ、承り候へ
 ヶ様/\の者と申、ま事御愛走よき
 人ニ而何分願候なぞと申候間、上ケ候て
 茶御くわし出し、受取書渡し、御膳でもと
 申候へ、車のよし、いそぐと申候まゝ
 致方なくゆへ、車代五十疋遣し置候事御座候、
 都鳥(※1)御くわし一折持参り候、右挨拶の
 かけんも知れ兼、何れ御帰りのうへと存居候、
 御品書一々差上候筈なから、ごた/\入ゆへ夫
 さし上す候へ共、御油紙包一、慥/\御受取
 申上、夫々取計ひまいらせ候御事御座候、
 御ほぐけして/\ちらし致不申、一包
 いたし仕舞置まいらせ候、御召其外もま事
 よく/\きれ、ま事有難、こんなきれ
 候ほと御はたらき戴候御かけさまニ而、らく/\と
 暮候御事、有難/\/\、御召等御たんと/\
 御よごし遊候様祈々々居候、御手足袋
 御沢山御廻し戴有難、此暮大そふしの
 節打寄戴と大わらい致まいらせ候、ま事/\
 御かんしん御捨なく御廻し被下、有難
 御ほめ申まいらせ候、御召ま事御りつばきれ、
 是又大わらい致まいらせ候、私も御かけさまにて
 大丈ふ、けふ/\と暮居まいらせ候、佐藤家内
 御留守中ゆへ御近くも成候間と申、十日に
 二度位充、日暮参り、泊り、朝御膳たべ
 帰りまいらせ候、昨夜なぞ朝迄、十一度小用
 参り、御わらい/\被下候、今日なぞ折ふし
 足か先へ出ぬよふ張参りまいらせ候、とふそ/\
 すら/\生落し、丈ふニ而
 君御あんしん御させ申暮たく、夫のみ
 心願御座候、近所よりも、よいと申よい事を
 おしへくれまいらせ候、とふそ/\お早く/\御帰り
 ひとへ/\/\/\/\/\願上候、万々年
                めてたくかしく
          なを/\めてたくかしく
     六月十二日認置
 
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中

※1 都鳥…向島の松花園で売っていた干菓子