23.明治7年8月14日

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 十日出御書状着、有難拝見申上奉り候、
 君ます/\御機嫌よく入せられ候御事、いか計/\
 有難/\存上奉り候、扨御母様の御義
 御委しく御こたへ戴、有難/\/\、何もかも
 仰被下候通り致まいらせ候御事御座候、
一峯さん一条、実御心得違ひ、御腹立
 御もつともと存上候、付てはき/\と
 御返事も御出しなく、又芝方御断の御様子も
 なく、ぐづ/\/\被成御出ゆへ、私はき/\
 なさいと申候へ、私心済ぬ事御申ゆへ
 おふき腹立候所、私かわるかつたと御申
 ゆへ、夫ぎり致候所、よふ/\昨日芝の方へ
 御断御出、御断ぶり并君へ御わひの御認
 方御相だんゆへ、夫あなたの御心御座候事と
 申上候事御座候、私ももそつと早く御咄し
 申上置候へ宜かつたと存候へ共、痛所にて
 長居つゝくゆへ、峯さん御あげなさい/\と
 度々申候、御相たんもなく、一日置二日置
 御通ひの義も、私も御相たんなく、先月
 十日頃より御出御座候、私 あなたの事なら
 どんな事でも、どんな思ひでも致候心得、
 又いづ国へでも御附申てなら参り候心得
 ゆへ、峯さん御世話等も君次第御座候、私も
 気をもみ候いろ/\の訳合も御座候事なから、
 四月比よりけいこ事更/\御やめ、夫も
 病気中ま事致方なくゆへ、養生一方致居
 候へ共、もはや先月初よりかつけもさつはり
 宜、しかし食物きひしく被成御出候へ共、
 ま事宜御成被成候、永の日ぶら/\/\被成
 御出が、ま事きかもめ/\、私もけいこ事
 御身しみ被成候へ、何とも申ざす(ママ)なから
 ぶら/\被成御出が気に成、去冬より何度
 おこり候哉、しかし仏様(義母のこと)どんな御安事と
 夫を存候て夫きり致候事御座候、
 仏様とんな御心御残しと、右へたいし
 御世話致し居候事御座候、きひしく
 御毒断致上候も、私か致ニハなく、ミんな
 君か被成御上ケの事ゆへ、よほと君を有難
 思召被成、御力も被成候筈の所、ま事
 面白くなき事御申ゆへ、つい/\腹立候事
 御座候、私も君の御心中も存居候間、峯さん
 内御持の節の御為、二ッ御座候物一ッ上候つもり、
 夫是心かけ居候と存、つい/\腹立候事
 御座候、君も御仏前へ御めんし、御かんへん
 遊し被下候様、私より願上候、しかし君の御心
 なんでもなくおもわれ候て残念ゆへ、
 どこ迄もきひしく御見せ被下候、しかし
 御内心の所御仏前へ御めんし御かんへん願候、
 何も用事のみ、早々 めてたくかしく
 ま事一筆御認がおつくうの御様子、
 よふ/\御わび状御認ゆへ差出し候、
   八月十四日発ス
 
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中