24.明治7年8月18日

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 十三日出御書状十五日着、有難/\/\
 拝見申上候、御道中いかゝ哉、東京
 両三日此方きひしき/\御暑さ
 相成りまいらせ候、益御機嫌よく
 入せられ候御事と有難/\/\、此節の
 御暑さと申、実御あんし申上候、私
 どふもふせり兼こまり候間、御薬
 御かげん御頼、夫より此両三日ふせり
 候やう相成りまいらせ候、 とふそ廿四日
 お寺参り致たく、夫に足のしびれ
 おふきに宜、入湯か宜と申候事
 ゆへ日々の様近所へ参り、序
 廿四日の足ならし大横丁(※1)迄あるき候
 事御座候、腰より上出産翌日より
 常の通り候らへ共どふも下の方
 はか/\しくなをり不申こまり/\まいらせ候
 昨ばんも目覚、つく/\とま事
 長き御留守、御帰り毎の事哉と
 ぞんし二時頃より目覚続まいらせ候、
 何も御不自由あらせられす候御事
 なから、何と仰越させられ候てもわたくし
 あんじられて/\成不申候、御さっし
 被下候
一養子の儀伺候へ早束御返事
 いたゝき有難、何もかも宜よし、
 御帰りの節御召連のよし、御同前
 あんしん致まいらせ候、 さづかり子と
 ぞんし候へ早々見たく御座候
一廿四日の御義も御細々仰戴き
 有難/\、何も宜取計ひまいらせ候
 御事御あんしん遊し候、此程も
 仰戴候いそへ御土産の品仰戴き、
 御帰りのうへ御相たん願候事御座候、
 何も/\用事のみ
          めでたくかしく
    八月十八日発ス
 
一なを伺候、 白もめんふきんぎれ
 御座なく候間、とゝのへ可申と存居候所、
 御先廻りの内ま事地わるき白
 もめん少々御座候、夫をつかひ候ても
 宜哉、御返事御伺せ願候、今日も
 夫は/\御暑く御道中も御同様と
 存上候、御暑気当り等あらせられす
 やう夫のみ祈々居まいらせ候、
 養子待請等何も致置不申ても
 よろしくや、伺まいらせ候
一峯さん事御気わるぎ御座なき
 御人候へ共、どうもはき/\不被成、夫
 蓮様(義母)ひどく御あんじ御出と申事
 承り居候間、とふぞはき/\被成候
 やう致たく存候、私も今日なぞま事
 よろしく、こんだほんとう宜そう
 御座候、此程申上候職人女房
 君の御帰りひとく御待
 申上居、其後参り不申、此度一所
 立候事や、更分り不申候、ま事
 御暑く候へ共、内の風入宜候哉、皆々
 うら山しがり参らせ候、用事のミ、早々
一御刀だんす引出し風□(風稟‐風鈴か)御座候間
 取出しみがき、糸もかへさげ候へバ
 ま事きれいすゝしく御座候
 
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中

※1 大横丁…四ッ谷御門に通ずる甲州道中の商業地、つげさん馴染の一帯。