十三日出御書状十五日着、有難/\/\
拝見申上候、御道中ハいかゝ哉、東京ハ
両三日此方きひしき/\御暑さニ
相成りまいらせ候、益御機嫌よく
入せられ候御事と有難/\/\、此節の
御暑さと申、実ニ御あんし申上候、私
どふもふせり兼こまり候間、御薬
御かげん御頼、夫より此両三日ふせり
候やう相成りまいらせ候、 とふそ廿四日
お寺参り致たく、夫に足のしびれ
おふきに宜、入湯か宜と申候事
ゆへ日々の様ニ近所へ参り、序ニ
廿四日の足ならしニ大横丁(※1)迄あるき候
事ニ御座候、腰より上ハ出産翌日より
常の通りニ候らへ共どふも下の方
はか/\しくなをり不申こまり/\まいらせ候
昨ばんも目覚、つく/\とま事ニ
長き御留守、御帰りハ毎の事哉と
ぞんし二時頃より目覚続まいらせ候、
何も御不自由ハあらせられす候御事
なから、何と仰越させられ候てもわたくしハ
あんじられて/\成不申候、御さっし
被下候
一養子の儀伺候へハ早束御返事
いたゝき有難、何もかも宜よし、
御帰りの節御召連のよし、御同前ニ
あんしん致まいらせ候、 さづかり子と
ぞんし候へハ早々見たく御座候
一廿四日の御義も御細々仰戴き
有難/\、何も宜取計ひまいらせ候
御事御あんしん遊し候、此程も
仰戴候いそへ御土産の品仰戴き、
御帰りのうへ御相たん願候事ニ御座候、
何も/\用事のみ
めでたくかしく
八月十八日発ス
一なを伺候、 白もめんふきんぎれ
御座なく候間、とゝのへ可申と存居候所、
御先廻りの内ニま事ニ地わるき白
もめん少々御座候、夫をつかひ候ても
宜哉、御返事御伺せ願候、今日も
夫は/\御暑く御道中も御同様と
存上候、御暑気当り等あらせられす
やう夫のみ祈々居まいらせ候、
養子待請等何も致置不申ても
よろしくや、伺まいらせ候
一峯さん事御気ニわるぎハ更ニ御座なき
御人ニ候へ共、どうもはき/\不被成、夫ヲ
蓮様(義母)ひどく御あんじ御出と申事
承り居候間、とふぞはき/\被成候
やう致たく存候、私も今日なぞハま事ニ
よろしく、こんだハほんとうニ宜そうニ
御座候、此程申上候職人女房
君の御帰りヲひとく御待
申上居、其後参り不申、此度一所ニ
立候事や、更ニ分り不申候、ま事ニ
御暑く候へ共、内の風入宜候哉、皆々
うら山しがり参らせ候、用事のミ、早々
一御刀だんす引出しニ風□(風稟‐風鈴か)御座候間
取出しみがき、糸もかへさげ候へバ
ま事ニきれいすゝしく御座候
旦那様へ 申上 つけ
人々御中
人々御中
※1 大横丁…四ッ谷御門に通ずる甲州道中の商業地、つげさん馴染の一帯。