25.明治7年8月21日

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 十七日出、十九日着、拝見申上候、
 君益御機嫌よく入せられ候御事、
 何寄/\有難かり/\まいらせ候、扨東京
 夫/\きひしき御暑さ御座候、御道中も
 御同様と存上候、君どふぞ/\
 御暑さ等御障りの不被為有候様
 堀之内様へ内ニ而御百度上け祈々
 居候、私きれいの内ニ而すゝしく
 暮居候間、有難候へ共、
 君御道中定めしきたなき
 所御出と御きの毒さま/\存上候、
 一昨日峯さんより御便りの節、私よりも
 さし上可申と存候所、四つ比よりねりま
 鎌さん御出、一日御咄しニ而手引不申、
 夫ゆへ差上不申候、十二日布田より
 暑中力さん御出、一夜御泊り翌朝
 御帰り被成候、布田よりさん度々御出、いろ/\
 戴候事御座候、昨日北沢賢さん
 御出、御法事付平さん御すかさん
 御出の所、御暑さ付御断御申御座候、
 建さんせひ/\御出のよし、御寺参り
 何時と御申ゆへ、朝八時参り候と
 申候へ、左候ヽ前日参り泊り候
 て一所行と御申、御帰り被成候、布田
 北沢・ねりまよりうんどんこ御もらい申、
 ま事好ゆへいろ/\致、右粉計
 たべて居まいらせ候、私事ま事宜相成り、
 ま事/\有難/\、御あんしん願候、
 丈ふニ而御留守守り居候間、御安心/\
 とふそ/\御帰り一時も御早く
 願上候、余りの御長さあきれかへりまいらせ候、
 御用と申、ま事致方なく、御丈ふニ而
 御勤戴候御事、此うへもなき有難/\
 御事御座候、
一峯さん一条、十七日出御書状篤と拝見
 のうへ御渡し申上候、御覧被成、何と申
 御返事上可申と御相たんゆへ、是は
 あなたの御了間、是程被成候
 御兄様有難たいと思召さす
 御一了間ニ而ヶ様の事被成、女なから私迄
 ないがし被成、御相たんもなき事
 ゆへ、私何事も御兄様と御同意
 ゆへ、其思召て御出なさいと申候事御座候、
 心からいじのわるい事致候と更々
 存不申候へ共、君御留守がちの御事
 ゆへ、私がなまやさしい事申候と
 峯さん御為成不申、十七日出の
 御書状ニ而、私も去冬中よりのためこと
 申出し、りくつ詰致、あなた
 御兄様の御為修行成さるかと
 申候へ、左様の事ないと御申ゆへ、
 左候ヽなぜ御留守と御内と御違へ
 なさるとせめ候へ、御こまり御出御座候、
 わたくしもいろ/\申候事も御座候
 得共、蓮様内へさぞ/\御心残と、
 右へたいし峯さん御世話可致と存居候、
 御気わるぎなく候へ共、只々
 何事もはき/\被成候事御出来
 不被成、こまり候事御座候、いろ/\
 申上候事御座候へ共御帰りのうへ
 御咄し申上候御事御座候、めてたくかしく
   八月廿一日発ス
 
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中