31.明治7年9月6日

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 二日出御書状四日着、拝見申上奉り候、
 君ます/\御機嫌よくとの
 御事、有難/\/\/\存上奉り候、
 扨才領の御事伺候へ、早速/\
 御否御伺せ戴き有難、何も/\
 うかゝひまいらせ候御事御座候、千住迄
 御迎の義御委しく仰戴き、
 有かたく/\/\、左候ヽ御迎差出し
 不申候、賢次郎事昨日参り
 御着相知れ候ヽ伺たく、千住迄
 御迎出候よし申候間、何となく
 留置まいらせ候御事御座候、さて
 水谷氏御事病院御かゝり
 のよし、ま事/\御きの毒/\の
 御事、嘸々御こまりの御事と
 御さつし申上候、付而ハ
 君御帰宅また/\御延と昨夜も
 ふせり候て、つく/\とかんがへ、
 ヶ様御寒くも成り、定めし
 御残し置の御召もやぶれ居候
 御事と、実/\気がもめ/\/\、
 実を以御召持参ニ而参りたくと
 心細く成りまいらせ候、とふそ/\
 御帰り御日限御きまり相成り
 候ヽ御伺せ戴たく、四日御伺書
 御差出しの由、右御差図御座
 候ヽ直御きかせ願上候、扨佐藤事
 近くへ参り、都合わるく、私も
 よろしく成候間一度こひ/\と
 申、引移り後一度も参り
 不申、并産後礼も参り
 不申候間、御帰りのうへ御一所
 可参と存居候所、あやにく入湯
 四ッ谷辺へ参り候と賢次郎
 出合都合わるく、ま事さとうへ
 参り候事いやで/\成不申、
 しかしふぎり成候もいかゝゆへ、
 もし/\余り御帰り御延相成
 候ゝ一寸参り申へくと存
 候間、御帰りの御様子御伺せ被下候、
 佐とうへ参り候と永田へも
 ぎりがわるく候へ共、永田の方は
 御帰りのうへ致候とそんし居候、
 よその内へ参り候事、ま事
 いや/\、内ほどよい物御座なく、
 ぎりとふんどしかゝれないと、
 たとへの通り御座候、
一安藤ばアさん事、此程中かうし
 町やど屋へ雇参り候よし
 の所、安藤事此節また/\
 わるく、実/\ばけ物のよふ
 成り、右所へも参り兼のよし、
 日々の様惣ざい貰候ともたせ
 遺し、殊の外の歓候、私産
 後もよごれ物もあらいくれ候間、
 うなきめしふるまい遣し候へ
 十いく年ぶりニ而戴き候と、
 夫/\ひどい歓々御座候、
 それこれ私のふる物も遣し置
 候間、礼なぞもらい候気か御座
 なくながら、産後二七夜まて
 参りきりニ而世話致くれ候間、
 御帰りのうへ何か礼と存居候へ共、
 余り御おそくゆへ、道中より申越
 たと申、御施しかた/\弐分も
 戴かせ候ていかゝ哉、此たんも
 伺まいらせ候、嶋崎御帰りのうへニ而
 よろしく哉、嶋崎御新造事
 ま事よく致くれ、初てこし湯
 の節も安藤ばアさんだいし(大事)
 計り取、いつ迄も湯留、其内
 嶋崎御新造参、かへてわるいと申、
 たすきかけニ而湯遺わせくれ候、
 夫も是も旦那様の御かけさまと
 有かたく/\/\/\/\存上奉り候、
 実昨ばんもかんかへあんじられて
 /\/\成り不申、ふせり兼まいらせ候、
 ふせられぬは御帰りが御座なく
 てなをり不申、御帰り御座候と
 昨年もせうたいなくねむく
 成り、ふせりまいらせ候御事御座候、
 とふぞ/\御早く御帰り
 々々居まいらせ候 めてたくかしく
       九月六日九時出ス
 
     用事
旦那様へ 申上     つけ
     人々御中