34.明治8年12月3日

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 廿七日出姫路よりの御書状二日着、有難/\
 拝見申上候、此方より御居所知れ兼、
 右ゆへつい/\御無さた申上候、廿五日に
 神戸へ向御機嫌伺、御手元へ参り候や
 伺たく候、 君ます/\御機嫌よく
 御勤戴候との御事伺、ま事/\/\/\
 有かたく/\/\/\、心おだやか相成りまいらせ候、
 ゆふ便着候と、心精々いたしまいらせ候、
 扨柿の御咄し伺、ま事/\御うら山しく/\
 かきと伺候て、せひ/\戴き参り
 たく、源、さよ三人ニ而大わらひ/\/\致し、
 当年樽柿も見た計り、此程一ッたべ
 候へ、一夜八度小用参り、恐てしまい、
 此節常が六度きつと小用参り、
 近より候程たび/\参り候よし
 御わらい/\/\被下候、小用八度おそれ
 戴き参り不申候、御わらい/\/\、
 源、さよ(※1)計り折ふしとゝのへ戴かせ候
 代りおはぎこしらへ、三人ニ而
 十分たべ、ま事/\おいしく/\、持
 参り  君上ヶたくと申々戴
 まいらせ候、是又御わらい/\、此節私身
 そろ/\と存候事ゆへ、旦那様御留守と
 申、三度/\御膳時よその人参り
 居、ま事にぎやか御座候、何も/\
 君の御光り有難/\御事、右ゆへ
 余り外聞わるき事も出来不申、
 つい/\物も入候へ、ま事/\有難/\/\/\
 御事御座候、源事ま事けいこ事
 よくせい出し、朝も早くおき、私申候ニハ
 御とゝ様御帰り迄御ほめられ申候
 やうと申、せめ候事候、口(素読のこと)ま事
 ゆへ有難/\、此程も小しけんの節五人
 おいこし、札上り候よし、来ル七日大しけん
 のよし、よく/\せい出し候事候、こと
 より候と、君御帰りの事うす/\
 咄し候へくいたし居候、よその
 人々内でもあかんぼう生れると
 申、歓咄し候由御座候、
一ホンスの御事も御細々仰戴き
 ま事/\有難/\/\、 君御ほね折
 にて御廻し戴候御事ゆへ、御帰り
 御初穂召上り候うへ、私も戴き、
 御帰り迄古きの戴居まいらせ候、此程
 嶋崎御新造、安藤ばアさん、さよ父
 すばく(寸白)ニ而こまり候由、御廻し戴候
 かは(樺か)戴かせ候へ、ま事よく聞、ぢき
 おなら沢山出て参り、大たす
 かりと申、歓々々候事候、生田さんも
 すばくニ而御こまりと申事ゆへ
 其内かは上ヶ候と存居候、実
 きれな(きれいか)かはニ而結構/\人たすけ
 御座候、
一何か/\其内よほど面白き品御廻し
 相成り候由、何候哉、大楽しみ/\
 着楽しみにいたし居まいらせ候、
一君御願之一条御さたなしの由、
 御先方さぞ/\御こまりといふきび/\
 御座候、御否御知れ遊し候ヽ、早々
 御伺せ被下候、何も/\
 君御機嫌よく入せられ候御事伺、
 何寄/\/\/\/\/\有難/\/\、神々様へ
 御礼申上候御事候、私も大丈ふ/\
 御安心/\被下候、当年此程申上候
 通り、替り合泊りもらい候間、大安心/\
 先月廿七日夜どふかと存候事
御座候て、ばゝァ呼遣し候へ、全く
ひへ候事ニ而直り、今日迄出不申候、
       万々年/\めてたくかしく
   なを/\万々年/\めてたくかしく
 
 
別紙申上候、扨、尾州
三位様(※2)御義、十一月中半比大分
御よろしく、一とう有難かりの所、
ま事の御俄ニ而、十一月廿四日
御逝去被遊候よし、私身おも
伺せ候て、もし/\からだへさわり
でもいたし候て不済と、しばらく
御伺せの御事御見合の由候所、大久保
会津様御並請、俄手引候よし、
夫よりもれ伺、新助早々出候由、
私も新助ニ而取あへす
一位様御初御機嫌伺、御悔申上候
御事候、左候ヽ三十日元御使番勤候
おいそと申者を以、からださわらぬ
よふ伺せろと申御知らせ参り、
御備物等御殿ニ而取計ひ候間、
けして/\気もむなと申参り候、
已前ヽ尾州迄御棺ニ而御登り
の所、当時御事ニ而、大久保西光庵
と申庵寺へ当月五日御納り
のよし、御道書迄拝見いたし、
何も/\御壱人ぎりの
殿様、御十八才迄被遊、
一位様御初、御途方御くれ遊候と
申参り候、御尤様/\御病気と申、
三十両五十両ト申御祈祷、所々
国々へ迄出候よしなから、御計(叶なくか)なく
是計り別の事と相見参らせ候、
御殿より、もはやとの様御したひ
申上候ても御帰りなく、自分身
大切いたし、自分旦那様大切いたし、
成り候ヽ、御殿并西光庵
出候様と申参り候、私へ別たん
御恩の深、御主君、ま事袖しぼり候
候、 君より日々御機嫌伺候
やう仰戴候事、御殿へ聞へ、
わかり候御方と、申参り候、
有栖川宮様御娘穂のぶ宮様八九年
御ゆい納被為済、来春御引取と
申事伺候所、此御次第、御逝去前
御りゑん出、夫より御逝去御発し
相成り候と申事御座候、たしか
宮様御十五才と覚候、何共/\申上候
やうなき恐入/\候御事候、
御玉さんと申御腹(胎)当春四ッ谷へ
入せられ候御姫様御卒去、又
三位様、ぼふせん致居候由候、尤々
さつし入候事候、  かしく
  十二月三日
  旦那様へ 申上人々   つけ
 

※1 源、さよ…源三郎、昨年養子となった。さよは新任のお手伝い。

※2 三位様…尾張藩16代藩主、義宜