廿七日出姫路よりの御書状二日着、有難/\
拝見申上候、此方よりハ御居所知れ兼、
右ゆへつい/\御無さた申上候、廿五日に
神戸へ向御機嫌伺、御手元へ参り候や
伺たく候、 君ます/\御機嫌よく
御勤戴候との御事伺、ま事ニ/\/\/\
有かたく/\/\/\、心おだやかニ相成りまいらせ候、
ゆふ便着候と、心精々いたしまいらせ候、
扨柿の御咄し伺、ま事ニ/\御うら山しく/\
かきと伺候てハ、せひ/\戴きニ参り
たく、源、さよ三人ニ而大わらひ/\/\致し、
当年ハ樽柿も見た計り、此程一ッたべ
候へハ、一夜ニ八度小用ニ参り、恐てしまい、
此節ハ常が六度ハきつと小用ニ参り、
近より候程たび/\参り候よし
御わらい/\/\被下候、小用八度ニおそれ
戴きニ参り不申候、御わらい/\/\、
源、さよ(※1)計り折ふしとゝのへ戴かせ候
代りニ私ハおはぎこしらへ、三人ニ而
十分ニたべ、ま事ニ/\おいしく/\、持
参り 君ニ上ヶたくと申々戴
まいらせ候、是又御わらい/\、此節ハ私身
そろ/\と存候事ゆへ、旦那様御留守と
申、三度/\御膳時よその人参り
居、ま事ニにぎやかニ御座候、何も/\
君の御光り有難/\御事、右ゆへ
余り外聞わるき事も出来不申、
つい/\物も入候へハ、ま事ニ/\有難/\/\/\
御事ニ御座候、源事ま事ニけいこ事
よくせい出し、朝も早くおき、私申候ニハ
御とゝ様御帰り迄ニ御ほめられ申候
やうニと申、せめ候事ニ候、口(素読のこと)ま事ニ宜
ゆへ有難/\、此程も小しけんの節五人
おいこし、札上り候よし、来ル七日大しけん
のよし、よく/\せい出し候事ニ候、ことニ
より候と、君御帰りの事うす/\
咄し候へハ目○くいたし居候、よその
人々ニ内でもあかんぼう生れると
申、歓咄し候由ニ御座候、
一ホンスの御事も御細々仰戴き
ま事ニ/\有難/\/\、 君御ほね折
にて御廻し戴候御事ゆへ、御帰り
御初穂ヲ召上り候うへ、私も戴き、
御帰り迄ハ古きの戴居まいらせ候、此程
嶋崎御新造、安藤ばアさん、さよ父
すばく(寸白)ニ而こまり候由、御廻し戴候
かは(樺か)ヲ戴かせ候へハ、ま事ニよく聞、ぢきニ
おなら沢山ニ出て参り、大たす
かりと申、歓々々候事ニ候、生田さんも
すばくニ而御こまりと申事ゆへ
其内かはヲ上ヶ候と存居候、実ニ
きれな(きれいか)かはニ而結構/\人たすけニ
御座候、
一何か/\其内よほど面白き品御廻しニ
相成り候由、何ニ候哉、大楽しみ/\
着ヲ楽しみにいたし居まいらせ候、
一君御願之一条御さたなしの由、
御先方さぞ/\御こまりといふきび/\ニ
御座候、御否御知れ遊し候ハヽ、早々
御伺せ被下候、何も/\
君御機嫌よく入せられ候御事伺、
何寄/\/\/\/\/\有難/\/\、神々様へ
御礼申上候御事ニ候、私も大丈ふ/\
御安心/\被下候、当年ハ此程申上候
通り、替り合泊りもらい候間、大安心/\
先月廿七日夜どふかと存候事
御座候て、ばゝァ呼ニ遣し候へハ、全く
ひへ候事ニ而直り、今日迄出不申候、
万々年/\めてたくかしく
なを/\万々年/\めてたくかしく
別紙ニ申上候、扨、尾州
三位様(※2)御義、十一月中半比大分
御よろしく、一とう有難かりの所、
ま事の御俄ニ而、十一月廿四日ニ
御逝去被遊候よし、私身おもニ付
伺せ候て、もし/\からだへさわり
でもいたし候てハ不済と、しばらく
御伺せの御事御見合の由ニ候所、大久保
会津様御並請、俄ニ手引候よし、
夫よりもれ伺、新助早々出候由、
私も新助ニ而取あへす
一位様御初御機嫌伺、御悔申上候
御事ニ候、左候ハヽ三十日ニ元御使番勤候
おいそと申者を以、からだニさわらぬ
よふ伺せろと申御知らせ参り、
御備物等ハ御殿ニ而取計ひ候間、
けして/\気ヲもむなと申参り候、
已前ニ候ハヽ尾州迄御棺ニ而御登り
の所、当時御事ニ而、大久保西光庵
と申庵寺へ当月五日ニ御納り
のよし、御道書迄拝見いたし、
何も/\御壱人ぎりの
殿様、御十八才迄ニ被遊、
一位様御初、御途方ニ御くれ遊候と
申参り候、御尤様/\御病気と申、
三十両五十両ト申御祈祷、所々
国々へ迄出候よしなから、御計(叶なくか)なく
是計りハ別の事と相見参らせ候、
御殿より、もはやとの様ニ御したひ
申上候ても御帰りなく、自分身
大切ニいたし、自分旦那様ヲ大切ニいたし、
春ニ成り候ハヽ、御殿并西光庵
出候様ニと申参り候、私へハ別たん
御恩の深、御主君、ま事ニ袖しぼり候
事ニ候、 君より日々御機嫌伺候
やう仰戴候事、御殿へ聞へ、
実ニわかり候御方と、申参り候、
有栖川宮様御娘穂のぶ宮様八九年
前ニ御ゆい納被為済、来春ハ御引取と
申事伺候所、此御次第、御逝去前ニ
御りゑん出、夫より御逝去御発しニ
相成り候と申事ニ御座候、たしか
宮様御十五才と覚候、何共/\申上候
やうなき恐入/\候御事ニ候、
御玉さんと申御腹(胎)当春四ッ谷へ
入せられ候御姫様御卒去、又
三位様、ぼふせん致居候由ニ候、尤々
さつし入候事ニ候、 かしく
十二月三日
旦那様へ 申上人々 つけ
※1 源、さよ…源三郎、昨年養子となった。さよは新任のお手伝い。