旦那様へ 申上 つけ
人々
十五日出書留御便り廿日着、有難/\
拝見申上候、 君ます/\
御機嫌よく入せられ候御事、何寄/\
有難/\/\拝見申上奉り候、さて
十五日出ニ名御付御廻し戴、ま事ニ/\
有難/\/\安心いたし候、賢次郎并私へ
御細々仰戴、ま事ニ/\有難/\、
賢次郎への御状拝見、実ニ有難/\
実ニ涙出候程有難/\/\、御礼申上候、
御状之趣きつと守り候御事ニ御座候、
七夜も 君御内ニ候ハヽ、きつと
本膳と仰せられ候御事と存候へ共、
産後御めて度/\と申人出入
多、三度/\五六人位充よその人へ
御膳出し、夫ニハ万事入用多、
此度ハ両人共大丈ぶゆへ、私も参り候
人々へ一口出しもらい、さよ大いそかし/\、
親類内并近所の人々御めで度/\
と申、七夜過迄も人々参りつゝけ、
口のきゝつゝけニ候へ共、血のけ更ニ
なく、小ぞうハ日々成人、此節ハ○こんな
目ヲ明、よほと遊候様相成り、内々
の御咄しなから、よほとの美女、
はな高く、皆々こんな御美しき
あかさんハ初て見たと申、親なから
よほと美女と存候、源三郎ニま事ニ
よくうつり居候、七夜ニ井戸神様へ
御参り、新助いだき、孫だと申、大
歓/\/\、賢次郎の歓、人かたならす、
賢次郎、源三郎ニ申候ニハ、源さん大し
けんニまけてくると是ヲやらないと
申、小ぞう出し候へハ、源ふしぎな顔いたし居、大
わらい/\/\いたし候、源大しけんニ出、
本・そろばん・手共、不残よく出き候よし、
東京府より半紙五状の御ほふ(ひ脱か)出候、
此たん申上候、席書ハ よほと/\りつばニ
出(来が欠か)、内の御長屋ならひの子共たち
手出き不申、せき書、張かね(針金)のよう、
源計りハよく出き候よし承り、
ま事ニ心持宜御座候、何かほうひヲ
やると申置候、出生ま事ニかわゆ
かり、だきたかり、おしめヲこしらへ
たり、ま事ニよくはたらき、大わらい/\ニ
御座候、賢次郎仰戴候宮参り
等之義ハ、御めて度悦のばし、
君御帰京のうへと定置候間、
二月ハきつと/\/\/\御帰ヲきつと
願上候、一時も早く御めに懸たく、よほと
美女ニ御座候、只今をにまくりハ
のませ置候、私乳とふもしこり
取かね、乳くひ出不申、沢山ニハ候へ共、
只今直ニたつふり出候わけニ
不参、付ても、賢次郎飛あるき
いろ/\心配いたし候所、私乳昨今
だいぶ出て参り、早くしこり
ほごれ不申候てハ不宜と申、乳もみ
一と通り賢次郎参り頼、一廻り壱円
にて貰参り候、私乳出候迄月雇
てもと申、賢次郎・嶋崎 御新造
相だんニ而申候へ共、乳雇もめつた
ニハ置かれ不申と申、夫より賢次郎
かけあるき、道具かひニ参り
みるく私乳ちやんぼんニのませ、
波多の十月出産、乳多こまると
申、日ニ一度充呼ニ参りもらい、
夜るハ昨今私乳ニ而沢山ニ相成、
有難かりまいらせ候、賢次郎への
御状、乳の事仰戴、ま事ニ有難/\、
右様ゆへ御安心/\、何れ賢次郎より
委しく申上候半、私よりハあら/\
申上候、実ニ大きな子ニ而、宮参り
過のやうと人様御申、早く/\
御とゝ様ニ御目ニかけたくと
申続暮居まいらせ候、二月ハせひ/\
/\/\/\/\御帰りきつと/\/\/\
願上候、御帰りなくと私又出て
参り候、こんたハ子丈ふゆへ
嶋崎、安藤へちとたつふり
礼ヲいたし候間、御承知願候、小ぞう
着ハこしらへ不申、あくりの沢山
夫ヲきせ置、宮参りハ御帰り
のうへと定おき候、賢次郎、さよハ
直(すぐ)ニ礼ハいたし不申、御帰りのうへニ
いたし候心得ニ御座候、何も/\
直(※1)なき大いそき/\申上候、
万々年めてたくかしく
十二月廿二日出
万々年