41.明治9年1月21日

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 十六日出御便り着、有難/\/\拝見
 申上まいらせ候、ます/\
 君御機嫌よく御勤戴候御事
 いか計/\御めてたく存上まいらせ候、
 扨 君も大阪御在勤ニ而、朝
 九時御出勤、三時御引取のよし
 御ひまニ而御こまりのよし御ひ様/\、
 しばらく御機嫌伺不申候とて
 御あんし戴、ま事恐入/\、
 小児ま事丈ふ候へ共、私春
 早くより風引、せき出こまり両三日
 ふせり、もはや宜、此程の書留
 着ゆへ、宜なから一寸申上まいらせ候、
 君ニハ御ひま、私ま事/\いそ
 かしく/\、 君ニハ御留守、一々
 御相たん伺候事も出来不申、
 世間のぎり等も有之、ま事/\
 せわしく、つい/\御機嫌伺不申、
 御めん/\被下候、なを申上候、
一市川深切宜様取計ひ候よし、
 出生御届ケ出しくれ候よし
 此段申上候、
一当春人別御届ケ出し候様
 かい状廻り、是又市川出くれ候、
一おんふ羽織御座なくこまり候付、
 高砂染五反御座候間、一たん
 つかい、右ニ而こしらへ候、裏
 もめん一反かい候、此段申上候、
 
 右申上候、延引なから申上候、
 賢次郎へ仰戴候七夜祝、御留守
 なから皆々御めて度/\/\と申、
 とふも御馳走致さねならぬ
 やう相成り、五両三分かゝり、
 ちと遣ひ過候事と御ゆるし
 被下候、小児衣類も宜の御留守中
 にけして/\こしらへ不申
 候へ共、ふたん着致方なく、入用
 の物伺不申こしらへまいらせ候、
一源三郎あわせ等なく、広嶋
 つむぎ遺ひ候ても宜哉伺候、
 君も大阪御在勤御蒙り、
 もし/\又一年も御詰遊し候
 思召ヽ、私小児つれ、此度
 御在勤の御事ゆへ、御うごきも
 なくゆへ蒸気ニ而参候間、
 もし/\左様ヽ御早く仰
 戴たく、源けいこのじゃまゆへ
 賢次郎へ頼預ケ、私小児さよ
 三人ニ而大阪へ参り、こんだ
 小長持ニ而も持参り、君御夜具
 等も持参り候、夫御在勤ニ而ハ
 ニ而戴候月給ぎりと存候、
 左候ヽ猶更御一所暮し候方
 宜と存候、只今成御帰り
 の御時分御在勤御蒙りニ而ハ
 春御帰り御出来兼と存上、
 いろ/\気かもめ/\候事候、
一是いまた表向ニハなく、御内々
 なから御咄し申上置候、住居候
 御長や御手入も御物入付、御払
 相成り候と申事、市川玉村へ
 参り、柳沢さんへも右のたん
 御咄し申と申候よし、御はつ殿より
 咄し御座候へ共、市川年始ニハ参り候へ共何等咄しなく
 其内表向咄し御座候ヽ、此節
 伺上候事なから一寸御下心
 御咄し申上置候、何付ても御留守
 計りニ而こまり/\候、
一直事少し充(ずつ)わらい、うくん/\と
 申出し、いそかしいのもうか/\と
 暮し、夜分何度となくおき、
 ねむく/\、夫ま事丈ふの
 せいか、乳のみ方あらく、私乳
 のみ候うへ、此程申上候みるき
 とか申牛乳一入物一分二朱、
 右四日位ニ而のんてしまい、
 初私乳しこり、出不申付、
 何れ出て参り候事ゆへ
 夫迄うばよりも是が宜と
 医師并一とう申、のませ候へ
 只今成好候てやめられ
 不申、一分二朱四日五日め
 ちとこまり候へ共、致方
 なくのませ置候、うばと存
 のませ置候、此たんも申上置候、
一くれ/\も御帰り御出来兼
 三人ニ而参り候間、きつと/\
 仰戴たく候、只今迄と御違ひ、
 御道中もなき事ゆへ、左候
 参り候ても宜、きつと/\参り候、
 何も/\いそき/\、万々年
         めてたくかしく
     なを/\めてたくかしく
  旦那様へ申上 人々    つけ
   一月廿一日出