四 気候

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 当町は、長い九十九里浜の中心より南に位置し、西側の背部に下総台地があり、その東側の低平地が冬のつめたい風に直接さらされるのを防ぐような地形になっている。
 したがって月別平均気温をとおして四季の気温をみると図10に示したように八月が最高で二五~六度、冬の最も寒い時期は一~二月で一~四度で(年度によって差異がある)、あまりきびしい寒さとはいえない。夏にしても、そんなに猛暑というほどの暑さではない。

図10 大網白里町の月平均気温
(山武郡市広域行政組合消防本部大網分遣所調査)
 
 これは当町の沖合を黒潮がながれていて、寒気を和らげるからである。夏の場合は天然のクーラーを備えているようなもので、海上から吹きつける風が暑気を和らげる。
 しかし、いつもこういう調子のよい時ばかりはなく、寒気団や、不連続線の張り出し具合により、肌を刺すような寒風が吹きつけたり、がまんできない、べたべたした暑気に苦しむことがある。
 当町の気候は「表日本式・東海型」という分類の中に入るといってよいであろう。
 気候そのものの特色としては、温暖で降水量にムラがあることであろう。
 従来こうした当地独特の気象条件を活用した産業がいろいろとくりひろげられた。たとえば往昔有名であった「ほしか」なども雨の少ない気象条件をいかしたものである。
 表2は、こうしたことを各事項に分けてもう少しくわしく調べたものである。五十九年度の例をみても年間総降水量は七三九ミリ程度で、千葉県の降水量としては少ないほうである。そのため必然的に晴天の日が多く、雨の日は少ない。梅雨期の六月で雨の日が六日間というのは注目されよう。
 
表2 白里地区の気象 (59年度 山武郡市広域行政組合消防本部九十九里分遣所調査)
雨 量快晴くもり風        向
北西南東西南西北東
1月32.3mm5203220721
2〃54 mm3184321431
3〃35.8mm018491073361
4〃56.6mm018931541145
5〃45.2mm2111537110355
6〃206.5mm010146785152
7〃29.0mm02191267313
8〃1.5mm623202321122
9〃70.7mm018102537177
10〃80.0mm01966132185
11〃57.5mm221431711252
12〃70.5mm236126212

 また風向は年間を通して北風がいちばん多く、次が南風である。季節として北風が冬季を中心に吹いているのに対し南風は夏季を中心に吹いている。東風、北東風も大体これと同様の吹き方をしている。
 冬期温暖であるということは農業面においてハウス栽培などに活用されているが、単に産業面だけではなく、よい気候条件は快適な生活を営む基本条件でもあるため、セカンドハウスの地を当町に求める例も少なくない。
 自然的環境は、その土地に住んでいるとなかなか気付かないものである。早くその特色に気付き、いかに活用するかを考えることは、今後の当町の発展に大きな課題となるであろう。
 また、細部にわたっては別項(主として近・現代編中)に記してあるので、それを参照されたい。