(1) 幕府の宗教政策

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 江戸幕府の宗教政策は、その当初において織豊(しょくほう)政権のそれをうけておしすすめられた。すなわち、その中央集権的な政治の機構に宗教を再編成することであった。具体的には仏教・神道・キリスト教をしっかりと統制下におくことであった。
 とくに約二百年におよぶ鎖国がキリスト教の禁教と貿易統制に理由があったことは、幕府が宗教をどうみていたかの一端がよくものがたられている。
 それらの諸政策は慶長六年(一六〇一)から寛文五年(一六六五)にかけて次つぎと実施され再編成のための作業をおえたといえる。
 このような幕政の展開のなかからその職制が明確化し設置されたのが寺社奉行である。寺社領行政、僧尼神官の監督、関東以外の天領訴訟を担当し、江戸町奉行や勘定奉行より上位に位置づけられた。また、これに応じて各宗の江戸在住の有力寺院数か寺を触頭(ふれがしら)とし奉行と各本山との連絡をとる機関がうまれた。
 つぎに幕政のうごきを軸として(一)仏教 (二)神道 (三)キリスト教の動向をまとめてみよう。