岡働(おかばたらき)

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 出漁のとき船には乗り込まず、平時より納屋に詰めて、出漁の伝達や炊事、あるいは網の手入れなどに従事した者を岡働と称した。そのうち、大隠居は、過去に船頭や中乗など重要な職務を経験し、高齢のため一線を退いた熟練者を指し、専ら水揚げされた漁網の片付けや、その修理に当たった。人数は一人から数人というのがふつうで、まれに網主の身内の者が十数人この役について、漁獲物の分配を受けたという例もあった。炊(かしき)は、納屋番、あるいは音人(おんど)ともいわれ、元来炊と音人とは別職であったが、次第に炊が音人をも兼務するようになり、後年にはほとんど炊=音人という関係になった。その主な業務は、炊事を含めた納屋の賄い全般である。また、音人として、出漁や陸揚げのとき高声をあげて浜辺を駆け回り、水主に出漁を知らせるとともに、水揚げの準備に岡者を呼び集めたりする役も担っていた。水懸け役は、俗にトンビと呼ばれ、平水主のなかから選ばれ、平時は、上納屋に常駐し、漁業に関する雑用に携って賄を補佐した。また陸揚げの折、浜辺に出て、鰯を盗み取る者たちに水をかけて制禦した。さらに船大工・鍛冶は、漁船の修造や、漁具の金具部分の補修に従事したが、必要に応じて網主から呼び寄せられたとき出向いて作業を行ったため、漁獲時の分配=当りを受けた。

写真 地引網漁業図(大網白里町中央公民館蔵 飯高家寄贈)