人びとが社会生活を営む地域には、それぞれ固有の先例や風俗習慣がある。これが如何なる理由から行なわれるのか伝承となっていることもあるが、その多くはあまり明確な根拠とはならない。大体は親の代、あるいはもっと以前からそうすることが習慣となっているという場合が多い。人の一生の中にも生まれてから死ぬまで(あるいは葬儀に至るまで)土地独特のものがあり、人はその習慣を大切に守っている。ここでは、その概要を聞きとり調査によってまとめて記録しておくことにした。
当町域のように社会増で、他地域の出身者が多く入ってくることにより、次第に旧来の風俗習慣がなくなっていく傾向があるところでは、これを記録しておくことが大切なことであろう。現在では、むかし実際に行われていたことが人びとの記憶から次第にその陰をうすくしつつある。