また外に出て畑などで、鳥を追う動作をする。これはこの行事の中に作物を喰いあらす鳥を追う「鳥追い」の遺風があると思われる。現在ではほとんど行われていない。
どんどっ火(どんど焼)・一月十四日夕刻に行われる。正月に飾った門松やお飾を焚き、五穀豊穣・無病息災・家内安全を祈願する行事である。
子供達が、各戸から門松やお飾を集め、農道か空地に青竹をたて、藁や雑木を積みあげ、夕方暗くなってから火をつける。門松を焚く火焰は高くのぼり、青竹のはじける勇壮な音が子供心をわきたたせる。
この火で焼いた門松を荒神様に供え、家内安全を祈ったり、翌朝お供餅(木綿餅)を焼いて食べると風邪をひかない、あるいは灰を屋敷へ撒くと災難除けになるといったならわしの他、子供達で作った「お守り」を、歌をうたいながら各戸に配るなど、いろいろな形で継承されている。
写真 どんどっ火のようす
写真 子供達のつくったお守り
当町南玉地区で歌われている歌を紹介する。
まんの まんの まんどろく
毎年まんどろく
去年よっか今年がまんどろく
旦那様お蔵に四間(よま)に八間(はちけん)
金銀黄金がいっぱい
そこでそうりよ
祝ってそうりよ
かやかや馬(かよかよ) 旧七月七日早朝の行事、子供らは予め用意された真菰でつくった馬(体長五十センチ位、体高二十五センチ位)の首や尾に、色紙で作った短冊を飾る。
これを木製の台車(四輪車縦五十センチ位、横四十センチ位)に足を固定させ、この下に真菰製小型の牛をおく。子供らは、菅や茅で作った縄で車を引いて朝露をふんで、畔などから稗を刈取って小さく束ね、十束位を車に積んで家へ帰る。馬と牛とを車から外し、足を洗い、刈取って来た稗などを敷き、その上に馬と牛をのせる。これに団子を供え、更に馬の口に団子をくわえさせる。
その日の内に馬と牛とを屋根の上などにのせ、決して地上には捨てない。馬や牛は、農家にとっては、欠くべからざる労働力であったのでこれを感謝し慰労したものではないか。この行事は現在は行われていない。
写真 かやかや馬
七夕・旧七月六日朝の行事である。子供らは、この朝が待切れず前日から用意しておく。
里芋の葉や蓮の葉にたまった露を集めて墨をする。この墨で色紙で作った短冊に願いごとや「天の川七夕の船」などと書く。これにこよりを通して、若竹に結びつけ、これを屋敷内に立てて翌朝を待つのである。この短冊付竹は、夕刻附近の小川に捨てる。この行事は、現代でも各所で行われている。