当町域にいくつかの宗教(主として仏教)の講集団が現在でも存在する。聞き取り調査を実施して次のようなものが各地域に現在も活動していることを知りえた。
大網地区(小西・山辺を含む)
子安講
題目講(老年の女性のたのしみの集りでもある)
三夜講
金比羅講
鹿島講(鹿島神宮の信仰と関係あるか)
大山講
三峯講
天神講(子どもが主体、現在はあまり行われない)
エビス講
十二講(小西正法寺で毎月一回実施)
二十三夜講(三夜講と一緒にしている場合もある)
甲子(きのえね)講
瑞穂地区
初午(はつうま)講
観音講
三峯講
子安講
コンピラ講(二月十日に実施)
天神講
二十日講
増穂地区
三夜講
観音講
子安講
天神講
題目講(公民館に集まり老人が主催)
エビス講
白里地区
三夜講(元禄大津波の死者の霊を供養)
エビス講
子安講(夫をもつ婦人のあつまり)
中年講(子安講、長寿会(老人クラブ)に出ない中年婦人の集まり)―桂山地区
題目講(毎月十二日に実施)
天王講(新栄・一月七日と六月七日に各戸から戸主が出席、八坂神社でお神酒を賜わり、ウドンを食べ、神輿を出す)
二十日講(三夜講と同じで一、五、九月の二十日に実施)
講の内容に関しては大体年中行事の中でとりあげているので、ここでは省略する。また聞き取り調査の結果であるので、中には実際には講があっても落ちている場合もあるのではないかと思うが、これは聞き取りでまとめたこととして了解してほしい。
なお、このほか屋敷神として「稲荷様」、「弁天様」の祠を個人的にまつっている例もあるが、これは個人信仰なので省略した。講は、江戸時代に幕府が農民の集会をきびしく禁じていたが、信仰活動だけは例外としていたので、こうした講が発達したという。それが、現在までずっと残って地域社会の人びとの集まる機縁として機能していることは興味あることである。しかし今日は、ややもすれば高齢者のみのあつまりとなり、若い人びとが加わらないという問題がありそうである。