参考資料『江戸時代の民間信仰の実態』
神社あるいは寺院、更には一般家庭の敷地内において、信仰の対象となっている諸仏、諸神の数は実に多い。それらは、小さな祠や石造の像として、如来、菩薩、天部を始めとしたあらゆる神仏が庶民の様々な願い事=「願掛」にこたえてきた。
その願掛けの習俗も、今日では全く非日常的となり、また、変質が著しい。病気治癒を主としたこれら願掛けの内容について、その一例(表12)をみておくことは本項の目的にかなうことであろう。
文化11年 願懸重宝記 | 文化13年 願懸重宝記 | 計 | |
諸願 家業・商売繁昌 開運・増福 火難・盗難除 厄除 懐胎・安産 夫婦仲・縁談 蛇除け 酔狂人をなおす 乳を良く出す 小児の月代 裁縫 諸病 歯痛・口中の病 疱瘡 眼病 痔 腰下の病 痰・咳 頭痛 足の病 脚気 腫物 瘧(おこり) 中風 労咳 淋病 しもやけ 歯害 イボ・ホクロ 野狐つき 疾瘡 小児の病気 | 4 0 0 2 1 1 1 1 0 0 1 0 2 4 3 1 1 1 3 3 0 2 0 1 0 0 0 0 0 1 0 1 1 | 9 1 3 3 3 6 0 0 1 2 1 1 7 5 10 1 5 2 0 3 1 0 2 0 1 1 1 1 1 0 1 1 3 | 13 1 3 5 4 7 1 1 1 2 2 1 9 9 13 2 6 3 3 6 1 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 2 4 |