黄初平


高精細画像で見る
 
 黄初平は白い石を羊に変える中国晋時代の仙人で、富を生む縁起の良い仙人として知られている。本作品では、左手で術をかける黄初平と、その足元に石から変化した直後の丸まった姿の羊が描かれている。岩にみられる片ぼかし風の表現や潤いのある楕円の点々は、大正後期の作品にみられるもの。
 本作品は総風会会員に頒布されたもので、画面右上に朱文長方印「総風会作品之一」がおされている。総風会は、房「総」の有志が天「風」を支援する後援団体で、大正7年に千葉県内で結成され大正9年に解散した。作品の制作時期は天風から林響に改号する大正8年にかかるが、総風会の作品には、改号後も特別に団体名の由来である天風の落款を用いたと推測される。
 
解説: 城西国際大学水田美術館学芸員 堀内 瑞子(2019.3)
 
目録を見る