蘆に鷭


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 林響は大の鳥好きで、品川の家は鷭(ばん)や秧鶏(くいな)、島鵯(ひよどり)、雉など数種類の鳥が飼われていて鳥の王国のようだったという。さらに、大正15年(1926)に移居した大網宮谷の家「白閑亭」では、庭の大きな池で鴛鴦(おしどり)が泳ぎ、庭中央に白鷴(はっかん)のための芸術的な小屋が建ち、玄関に向かう左右には鳥籠があり、5、60羽飼われていたと伝わる。この林響の鳥好きは少年の頃からで、小鳥の可憐な鳴き声と機敏な動作に魂を奪われて日がな一日飽かず眺め暮らしたという。鷭のなにげない仕草を簡略にとらえた本作品には、日ごろから愛でていた林響の観察の細やかさが現れている。
 
解説: 城西国際大学水田美術館学芸員 堀内 瑞子(2019.3)
 
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