梅花書屋


高精細画像で見る
 
 梅花が咲き乱れるなか書屋で高士が読書する図は、南画でくり返し描かれてきた画題。本作品には高士は描かれていないが、庭に置かれた奇石や盆栽に、主人の文人趣味がうかがわれる。
 林響に改号してからの作品は、色彩がより豊かになり、味わいのある描線が見どころとなる。本作品では、緑青や墨などの輪郭のあいまいな色彩面と、のびやかな線で竹林や木々を描き出している。林響を慕って宮谷に移り住んだ田岡春径が「線と点との交響楽であつた」(『土筆』4-9、1930年)と記すとおり、梅の花の点々や、楕円の点もみられ、新南画に独自の画境をひらいた大正後期の特徴がよく現れている。
 
解説: 城西国際大学水田美術館学芸員 堀内 瑞子(2019.3)
 
目録を見る