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 敬白三世十方諸佛菩薩等

  狭山池修複(復)事

右池者、昔行基菩薩行年六十四

歳之時、以天平三年歳次辛未、初築

堤伏樋、而年序漸積及毀破、爰依摂津

河内和泉三箇國流末五十余郷人民之

誘引、大和尚南無阿〓陁(弥陀)佛行年八十二

歳時、自建仁二年歳次壬戌春企修複(復)、

即以二月七日始堀(掘)土、以四月八日始伏石

樋、同廿四日終功、其間道俗男女沙弥少

児乞匃(丐)非人等、自手引石築堤者也、是

不名利偏為〓(饒)益也、願以此結縁□□

一佛長平等利益法界衆生、敬白

 

(アバラカキャ)

 

  大勧進造東大寺大和尚

      南無阿〓陁(弥陀)佛

  少勧進阿闍梨(バン)阿〓陁(弥陀)佛

(オンアボキャペイロシャ) 浄阿〓陁(弥陀)□

(ナウマカーボダラマ) 順阿□□□

(ニハンドマジンバラハラ)

□()□()□()(バリタヤウーン)

          阿□

番匠廿人之内

造東大寺大工伊勢□

守物部為里

 造唐人三人之内 大工守保

つつしんで、三世十方の諸仏・菩薩に申し上げます。

  狭山池を修復する事

狭山池は、そのむかし行基菩薩が六十四歳

の時、天平三年辛未の歳に初めて

堤を築き、樋を伏せました。しかし、年月を経るうちに、壊れて

しまいました。ここに摂津・

河内・和泉三箇国の狭山池下流にあって(恩恵を受けている)

五十余りの郷の人々の

要請により、重源が八十二歳の時、

建仁二年壬戌の歳に春より池の修復を計画しました。

二月七日にはじめて土を掘り、四月八日にはじめて石樋を伏せ、

四月二十四日に工事を終えました。その間、僧侶と俗人・男女

(を問わず)・沙弥・小児・

乞食・非人などが、(力を合わせ)自らの手で石を引き、

堤を築きました。これは、

名誉と利益のためではなく、ひとえに公益のためです。

願わくば、(改修に参加したことで)仏の教えと縁を結び、

(仏様が)この世の一切の生物をひとしく幸せにされることを。

つつしんで申し上げます。

 

アバラカキャ(大日如来の梵字)

 

  大勧進造東大寺大和尚

      南無阿弥陀仏(重源)

  少勧進阿闍梨バン阿弥陀仏

オンアボキャベイロシャ 浄阿弥陀仏

ナウマカーボダラマ 順阿弥陀仏

ニハンドマジンバラハラ

バリタ(ヤウーン)(光明真言)

     阿

番匠廿人の内

造東大寺大工伊勢権

守物部為里

 造唐人三人の内 大工守保