正浄寺(佐久山)

1118 ~ 1119
川越山無量寿院正浄寺と号し、浄土真宗本願寺派に属する。
両毛文庫栃木通鑑に、
正浄寺。川越山無量寿院正浄寺と号し、真宗に属す。本尊は川越阿弥陀如来なり。宗祖親鸞聖人、東北巡錫の砌、当地に到着せしに、会々箒川洪水の為に橋落ちて渡ること能わず橋端なる孫八と云える農家に一宿し昼夜説法化導ありしかば、孫八深く帰依し、翌朝聖人の発足せんとするに及び遺物を乞うて己まず、聖人信心の厚きを喜び、乃ち阿弥陀如来の尊像を画き与う。後世の阿弥陀如来と称するもの之なり。孫八一宇を建立して尊像を安置し、衆庶の尊信深かりしも、後孫八子孫絶え、当寺も一且廃絶せしが、文明年中(一四六九~一四八七)より源慶と云僧の再興して、旧観に復し以って今日に及べりと云。

 文政三年(一八二〇)および文久二年(一八六二)火災にあったが、北陸農民(門徒)の関東移住に呼応して僧俗一体、寺門興隆につとめた。現本堂は、明治十二年(一八七九)のものである。