第1表 大田原市建設計画 |
項目 | 新市建設計画 |
一 新市名 | 一 大田原市 |
1 関係町村名 | 1 大田原町、金田村、親園村 |
2 合併の形式 | 2 大田原町、金田村及び親園村を廃し、新たに大田原市を設置 |
3 合併の時期 | 3 昭和二十九年十二月一日 |
二 新市建設の基本方針 | 二 大田原町は栃木県北部に位し宇都宮市、福島県白河市との中間都市として発達し栃木県北の政治、経済、文化の中心をなしており、近時附近町村の農産物を原料とした食品加工業が発達し特産品として全国にその名を知られている。 |
今回合併した金田村、親園村は大田原町を三方に於てその境を接し古くより人情風俗を同じくし経済的にも一体的関係にあつたのでここに合併を実施して規模を拡大し、もつて財政力の強化をはかりその膨大な農業生産力を益々増大するとともに商工業を振興し農村商工の綜合的体制を推進して関係住民の福祉をはかり県北に於ける䡱要都市としての発展を期さんとするものである。 | |
なお附近町村民の要望によつては将来その区域の拡大も考慮せられる。 | |
三 市役所、支所又は出張所の綜合整備に関する事項 | |
1 市役所の位置 | 1 大田原市の市役所は現大田原町の役場の位置に置き、その建物は現大田原町役場の建物をもつて充てる。 |
2 市役所建物の増改築の方針 | 2 将来財源の余裕ができ次第、新築するものとする。 |
3 支所の位置 | 3 当分の間現金田村役場、親園村役場は大田原市役所の支所とする。 |
支所名及びその管轄区域は左の通りとする。 | |
金田支所 現金田村の区域とする。 | |
親園支所 現親園村の区域とする。 | |
4 支所で行う事務 | 4 金田支所及び親園支所に於ては概ね左の事務を行う。 |
(1) 戸籍及び住民登録に関すること。 | |
(2) 外国人登録に関すること。 | |
(3) 埋火葬の許可に関すること。 | |
(4) 印鑑証明に関すること。 | |
(5) 配給に関すること。 | |
(6) 土地及び家屋台帳に関すること。 | |
(7) 伝染病予防その他保健衛生に関すること。 | |
(8) 牛馬籍に関すること。 | |
(9) 社会福祉に関すること。 | |
(10) 勧業経済に関すること。 | |
(11) 諸証明に関すること。 | |
(12) その他市長が必要と認めた事項 | |
四 小学校、中学校、その他の教育文化施設の統合整備に関する事項 | |
1 教育委員会に関する事項 | 1 教育委員会の事務局は現大田原町に置く。 |
必要に応じ現金田村及び親園村の事務に関してはその公民館の職員をして兼務せしめる。 | |
2 小、中学校に関する事項 | 2 現大田原町立小、中学校、金田村立小、中学校及び親園村立小、中学校の名称は左の通りとする。 |
大田原市立大田原小学校 | |
大田原市立市野沢小学校 | |
大田原市立奥沢小学校 | |
大田原市立金丸小学校 | |
大田原市立羽田小学校 | |
大田原市立親園小学校 | |
大田原市立宇田川小学校 | |
大田原市立大田原中学校 | |
大田原市立金田北中学校 | |
大田原市立金田南中学校 | |
大田原市立親園中学校 | |
3 小、中学校の学区 | 3 小、中学校の学区は従前の通りとし将来通学に便なるよう変更することがある。 |
4 施設整備拡充の方針 | 4 財政の許す範囲に於て老朽及び狭小校舎の増改築を実施するとともに各校の教科資材を整備する。なお将来大田原小学校はこれを三校に分校するものとする。 |
5 社会教育に関する事項 | 5 現在の大田原町金田村及び親園村の公民館はそれぞれ独立の公民館として運営する。 |
公民館の内容充実を図り成人教育、青年学級の振興を図るとともに可及的速かに図書館を設置するものとする。 | |
五 消防施設の統合整備に関する事項 | |
1 消防団の統合整備に関する事項 | 1 消防団はこれを統合し現大田原町、金田村及び親園村の地区には新たに分団を組織する。 |
なお器具器材の整備とともにその組織機構の合理化をはかる。 | |
2 消防器材器具の統合整備に関する事項 | 2 現在の大田原町、金田村及び親園村所在のポンプは当分の間現在の位置に配置する。 |
腕用ポンプは財政の許す範囲内で機械化するものとする。 | |
六 病院、診療所、隔離病舎その他衛生施設の統合整備に関する事項 | |
1 病院及び診療所の統合整備に関する事項 | 1 該当事項なし |
2 隔離病舎の統合整備に関する事項 | 2 現在の大田原町、金田村及び親園村の隔離病舎は当分の間現在のまま運営するものとする。 |
3 墓地、火葬場、塵芥処理場その他の衛生施設の統合整備に関する事項 | 3 現在の大田原町火葬場、塵芥焼却場はそのまま運営し将来その設備の拡充整備を行うものとする、現在親園村に於て成果を挙げている蛔虫駆除事業を可及的速かに全市に普及するとともに将来糞尿処理施設を設けるものとする。 |
七 授産施設、保育所その他厚生施設の統合整備に関する事項 | |
1 授産施設の統合整備に関する事項 | 1 将来財政の許す範囲に於て設置するものとする。 |
2 保育所の統合整備に関する事項 | 2 現在の大田原町保育所を第一保育所、近く設置される保育所を第二保育所として運営する。 |
なお必要に応じ農繁期保育所を設置するものとする。 | |
3 公営住宅、公園、運動場その他の厚生施設の統合整備に関する事項 | 3 公営住宅は今後逐次増設をはかる。 |
現在の大田原公園、城山公園を整備し風致地区は地域を拡大する。 | |
大田原町の綜合運動場公園は現設備の他逐次諸施設を整備し第二種公詔運動場とする。 | |
なお将来児童遊園地の設置に努める。 | |
4 国民健康保険事業の統合整備に関する事項 | 4 可及的速かに国民健康保険事業を実施するものとする。 |
5 民生委員協議会及びその他社会事業機関の統合に関する事項 | |
(1) 民生委員協議会の統合に関する事項 | (1) 当分の間現大田原町、金田村及び親園村の民生委員協議会は単位団体として現在通り別個に運営するも可及的速かに統合するものとする。 |
(2) 民生委員の推薦会の統合に関する事項 | (2) 民生委員推薦会は合併後速かに統合するものとする。 |
(3) その他 | (3) 社会福祉協議会、青少年問題協議会、児童福祉審議会及び共同募金委員会は合併後速かに統合するものとする。 |
6 その他 | |
(1) 公益質屋の統合に関する事項 | (1) 現在の大田原町公益質屋をそのまま運営するも将来資金の増加をはかるものとする。 |
(2) 養老院の統合整備に関する事項 | (2) 現在の大田原町養老院をそのまま運営し将来その整備拡充をはかるものとする。 |
八 開田、開畑、干拓灌漑、排水施設の整備その他の土地改良に関する事項 | |
1 土地改良に関する事項 | 1 灌漑、排水、客土、耕地整理及び井堰施設その他土地改良事業を順次実施する。 |
九 道路、橋、トンネルその他土木施設の整備に関する事項 | |
1 道路の整備に関する事項 | 1 現大田原町を中心として関係町村に通ずる主要道路の拡充整備をはかり部落民の利便と生産増強のため主要幹線町村道を整備する。尚現に大田原町に於て施行中の都市計画事業を拡大施行する。 |
県道の改修整備については附属書類参照。 | |
2 橋梁の整備に関する事項 | 2 橋梁の改修、補修につとめ財政の許す範囲において逐次木橋を永久橋に架替るものとする。 |
十 水道事業、自動車運送事業その他公営企業に関する事項 | |
1 水道事業に関する事項 | |
2 その他の公営企業に関する事項 | |
十一 基本財産の造成に関する事項 | 十一 現大田原町、金田村及び親園村の基本財産は新市に引継ぎ将来ともその造成につとめる。 |
十二 前号までに掲げるものの外町村合併の目的を実施するために必要な合併町村の永久の利益となるべき建設事業に関する事項 | |
1 農業振興に関する事項 | 1 農業振興は新市発展の重要な基盤であるのに鑑み新市本庁に農務課を新設してその指導振興をはかるとともに農芸諸団体の育成につとめ畜産、林産、養蚕等農村副業の奨励をはかる。 |
農業委員会は当分の間現在の大田原町、金田村及び親園村の地区に設置運営しその連絡調整機関を設けて一元的活動を助成する。 | |
2 商工業に関する事項 | 2 商工業の振興は農業の振興とともに新市発展の二大要素でありこのため商工課を本庁に設置して商工行政を積極化し特に工場その他産業施設及び金融機関の誘致をはかるものとする。 |
現在の大田原町中小企業同栄会を全市域に適用し且つその保証額の増大をはかる。 | |
3 都市計画に関する事項 | 3 現在の都市計画施行区域を新市全域に拡大し逐次その推進を図る。 |
4 観光事業に関する事項 | 4 都市計画事業の推進とともに公園風致地区を逐次整備し観光事業の振興につとめる。 |
5 用排水路に関する事項 | 5 用排水路の改修整備をはかり灌漑、防火、衛生の万全を期する。那須野ケ原開発計画による用排路の早期実現に努める。 |
6 堤防に関する事項 | 6 災害防止と食糧増産のためその強化をはかる。 |
7 治山に関する事項 | 7 砂防工事の促進をはかるとともに山林資源の確保と災害防止をはかる。 |
8 その他の建設事業に関する事項 | 8 都市計画事業とともに失業対策を行い道路用排水その他の整備をはかる。 |
十三 本年度及び爾後五ケ年度別財政計画 | 別紙添付の通り |
十四 その他 | |
1 青年団婦人会の統合に関する事項 | 1 現大田原町、金田村及び親園村の青年団及び婦人会は当分の間それぞれ現状のまま運営する。 |
2 農業協同組合その他の協同組合の統合整備に関する事項 | 2 現大田原町、金田村及び親園村の農業協同組合はそれぞれ現状のまま運営する。 |
農業共済組合も又同様である。 |
附属書類
(一) 左記県道及び堤防の改修を早急に実施せられたい。
1 県道矢板線(大田原町地内)
2 県道馬頭線(大田原町及び金田村地内)
3 県道大田原芦野線(大田原町及び金田村地内)
4 県道佐久山川西線(親園村及び金田村地内)
5 県道川西東那須野停車場線(金田村地内)
6 松原下堤防の延長工事(四〇〇米)(親園村地内)
(二) 電話通話区域及び郵便物配達区域を早急に新市の区域に合致せしめられたい。
(三) 需要電力の増加につき援助されたい。
(四) 工場その他産業施設の誘致について強力に協力援助せられたい。
(五) 県道に架設しある木橋は逐次永久橋に架替せられたい。
(六) 都市計画区域を全市域に拡大指定せられたい。
(七) バス路線の延長及び運行回数の増加に御配意願いたい。
(八) 農業改良普及事務所の区域を合併区域に合うよう変更せられたい。
(九) 学校教育施設(大学)を設置せられたい。
(十) 新市域内の天然記念物の指定その他文化財保護を考慮せられたい。
(十一) 家畜保健衛生所の区域を合併区域に合うよう変更せられたい。
(「栃木県町村合併誌」第三巻上)
大田原市建設計画を定める協議書
昭和二十九年十二月一日を期し、大田原町、金田村及び親園村を廃し、その区域をもって大田原市を設置しようとすることとなったので、町村合併促進法第六条第一項の規定により、大田原市建設計画を別紙の通り策定した。
よってここに関係町村長が署名捺印する。
昭和二十九年十一月三十日
大田原町長 益子万吉
金田村長 小松兼蔵
親園村長 荒井正雪
建設計画書を定める協議書(昭和29年11月30日)
大田原市建設計画書(昭和29年11月)
以上のとおり、三町村の合併促進協議会において、建設計画の決定を見たのであるが、そのほか次のような事項が協議決定されたのである。
市建設計画に記載されない合併促進協議会における決定事項
(1)議会議員の任期及び定数
合併の日より一ヶ年 八六名
(2)関係町村の財産処分
新市に全部引継ぐ
(3)合併に伴う教育委員会の選挙による委員の定数及び在任期間
合併の日より一ヶ年 四人互選
(4)町村税の賦課率について
昭和二十九年度分は現行どおり
(5)一般職の職員の身分について
そのまま引継ぐこと
(6)市長職務執行者決定報告
別に関係町村長協議の結果、大田原町長益子万吉と決定した旨報告
(7)市区域内の地区名について
現在の大田原町全地域は大田原市大田原○○番地とし、現在の金田村及び親園村については現在の大字名をもって地区名とする。
(例 大田原市中田原 大田原市実取)
(8)特別職の身分の取扱について
町村長を参与とし任期は昭和三十年三月まで。助役、収入役は一般職として採用する。議員の報酬は現在の大田原町の例による。
(「栃木県町村合併誌」第三巻上)
なお、建設計画はその後の野崎村・佐久山町の合併に伴い、追加改定を行っている。