高度成長に伴う経済社会の発展に従い通勤、通学、医療、買物、娯楽等住民の日常社会生活における行動範囲は拡大し、住民のために日常生活に必要なサービスを提供することを任務とする市町村はかかる地域社会の変動に対応して新たな地域対策を展開する必要がある。すなわち、かつて住民の日常社会生活圏と一致していた市町村は、いわば拡大された新しい日常社会生活圏の基礎となるひとつの圏域に変質しつつあると見ることができる。このため都市及び農村を含む広域的な生活圏を単位として、中心都市と周辺市町村との有機的な機能分担と協力関係に着目した地域経営の推進及びその担手たるべき広域行政体制の整備が必要とされてくる。
このような社会経済情勢の変化と地域社会の変貌に対処するという基本的な考え方に基づき、地域の実態に即し、市町村の自主性を尊重しつつ、市町村が当面する諸課題の解決を図り、魅力ある豊かな地域社会を建設し均衡ある発展をねらいとして日常社会生活圏を単位として設定するものである。
前記の趣旨のもとに、栃木県においても広域市町村圏の振興整備を促進するため、一〇地区に地方自治法による一部事務組合又は協議会が設置され、一市町村においては財政的に困難な事業である広域消防、ごみ処理、し尿処理、視聴覚ライブラリー、火葬場、結核検診、伝染病隔離病舎、地方卸売市場、成人病検診等の共同処理にあたっているのである。