財政計画

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本市財政運営の基本方針については、昭和四十六年策定の大田原市振興計画に次のようにのべられている。
 財政計画
 財政運営の原則にしたがい長期的観点にたった健全均衡財政の方針を堅持しながら、増大する行政需要の中で、その財源の効率的、重点的投資配分を図らなければならない。しかしながら住民福祉の向上を図るための地方自治体の行政は、益々その範囲が拡大され、質、量ともに増大する現況にある。市民の要望に全面的にこたえるための自主財源の絶対量不足は、その深刻度を増しており、財政基盤の弱さが痛感される。
 しかしながら本市としては、積極的に農、工、商の均衡と調和のある開発と経済振興の施策を推し進めて、市民所得の向上に努め、合せて財政力の強化充実を図り、市民の要望にこたえる方針でゆかなければならない。
 このため長期にわたる財政計画を樹立し、財源の適切な見通し、有効適切な投資、とくに本計画の達成に要する財政需要額は膨大であり、自主財源のみでは到底のぞみえないことであるのでこの点、産業基盤の整備、福祉施設の建設等は極力国、県よりの財源援助と導入を図ることに努め、行政水準の向上に努める方針である。
(一) 歳入
 本市自体の財政力は悪いものではないが、今後積極的な経済開発を進め、更に課税客体の完全把握と公平な課税により、市税収入の増加を図らなければならない。

 また、円滑な税事務の運営のための調査、賦課、徴収の三部門に関する機構の近代化と、職員の資質向上に努めるなど自主財源の確保を図る。また、本計画の多くは先行投資であり、地方債制度の対策事業が多いので、償還能力の限度内において最大限にこれを利用する方針で進みたい。

(二) 歳出
 ア 人件費
 消費的経費のうちで最も大きな割合を占めるものは人件費であるが、今後事務量の増加と行政の複雑化のために職員増が予想されるので人件費の増加は大きく財政に影響してくることが予想される。

 これについては、行政の近代化計画の中で、事務の能率化、機械化等による近代化、合理化を図るとともに施設の統廃合整理、民間委託等を進め、極力人件費の抑制を図る。

 イ 物件費
 物価の上昇による物件費の増加は免れ難いが、常に職員の原価意識の高揚に努め、極力物件費の節減を図る。

 ウ 維持管理費
 民間委託等の採用を検討し、この種の支出を極力抑制する方針でいく。

 エ 自動車等の管理
 現有車輌および土木用重機械管理のために車輌センターを設置し、車輌管理費の節約を図る。

 なお、乗用車および土木用車輌についても、その購入管理台数を最小必要限度にとどめ、借り上げ制度を採用し、逐次その拡大を図る。

 オ 補助費
○各種団体等に交付している補助金、負担金等は、歳出予算のうち大きな比重を占めているので「補助金合理化審議会」等を設け、これが整理統合に努め極力その効率化と適正化を図る。

○国、県に対しては地元負担金の撤廃、若しくは軽減と図られるよう強く要請する。

○いずれにしても、消費的経費の節減を図るとともに投資的経費を最大限に確保することが基調であり、緊急度、事業効果、地域住民の福祉の均衡あるいは生産性の向上におよぼす割合を十分検討し、効率的な予算の執行に常に心がける。特に、各種施設の新設については、将来の維持管理に要する経費についてまで考慮し、適正規模と規格により事業実施を図るとともに、極力、永久構造として施設の恒久化を図り、その後における「補修的投資」は極力避け、基盤的「先行投資」に向けるよう意を注ぐ。

(「大田原市振興計画」)