地租改正

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明治六年(一八七三)七月地租改正条例が公布され、佐久山宿に役所が置かれ、地押丈量が行われたことは既に述べたとおりである(前節参照)。
 同九年「地位等級調査心得」が栃木県令より布達になり、地押丈量をした田畑の地価が決められていくのである。そのため、各村々は小区内にいくつかの組合を設け、模範村を選んだ。大田原地方の組合(番号)と模範村をあげると次のとおりである。
 
第六十三番、模範大豆田村、阿久津村、石井沢村、湯津上村、小船渡村、狭原村、北金丸村、南金丸村、余瀬村、蜂巣村、桧木沢村、寒井村、合十二ケ村
第六十八番、模範市ノ沢村、鍋掛宿、樋沢村、羽田村、野間村、久保村、練貫村、乙連沢村、小滝村、富池村、上奥沢村、奥沢村、鹿畑村、合十三ケ村
第六十九番、模範町島村、戸ノ内村、岡村、今泉村、荒井村、中田原村、赤瀬村、大和久村、刈切村、荻ノ目村、大田原宿 石林村、南郷屋村、高柳村、槻沢村、東関根村、関根村、東遅沢村、西遅沢村、井口村、富山村、上石上村、下石上村、合二十三ケ村
第七十番、模範滝沢村、成田村、稗田村、上河戸村、下河戸村、和田村、佐久山宿、藤沢村、滝岡村、花園村、宇田川村、親園村、実取村、平沢村、薄葉村、沢村、合十六ケ村
第七十一番、模範蛭田村、佐良土村、芳井村、大神村、倉骨村、新宿村、片府田村、吉田村、小川村、片平村、東戸田村、三輪村、浄法寺村、恩田村、薬利村、福原村、合十七ケ村

(「栃木県史 史料編・近現代四」)

 これらの模範村では、土地の収穫高を調べて等級を定め、地租を決定したのである。ついで、組合内の各村で、模範村を基準に土地の等級を決めたのである。等級は大田原近在では水田の場合、八等乙から一四等乙まであり(第7表)、この等級によって地租が決められたのである。こうして明治十一年には田畑宅地等の地租改正は終り、各村々から「地租改正水田地価帳 ○○村」、「地租改正畑地価帳 ○○村」という書類が県に提出された。その報告書には次のような進達文が添付されていたのである。
第7表 地租改正田畑等級表
水田等級表畑等級表(麦)
反当り収量等級反当り収量等級
1石2斗7升5合8乙
1・2・0・09甲1石2斗7升5合9甲
1・1・2・59乙1・2・0・09乙
1・0・5・010甲1・1・2・510甲
9・7・510乙1・0・5・010乙
9・0・011甲9・7・511甲
8・2・511乙9・0・011乙
7・5・012甲8・2・512甲
6・7・512乙7・5・012乙
6・0・013甲6・7・513甲
5・2・513乙6・0・013乙
4・5・014甲5・2・514甲
3・7・514乙4・5・014乙
(「地租改正地価帳」より作成)

右者今般地租御改正ニ付田方一筆限リ区長大小区地主惣代戸長担当人立会収穫地価取調候処書面之通相違無御座候依之一同連印進達仕候以上

   明治十一年九月 地租改正担当人小山田安三郎(他十二名略)
     右小区地主惣代相馬九平太(他二名略)
     右大区惣代矢口長左エ門(他一名略)
     副区長安藤伊平
     区長 阿久津修済
  栃木県令 鍋島幹殿
(「地租改正水田地価帳 小滝村」)