農地改革

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第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の指令により農地改革が行われた。昭和二十年十二月二十八日「農地調整法」を改正公布したのであるが、この改革は不徹底で、小作人からの土地取り上げによる不耕作地主の耕作化や、自作地主の経営規模の拡大が行われたという。そのため、農地調整法の再改正と「自作農創設特別措置法」を、翌二十一年十月二十一日に制定し公布したのであった。不在地主はすべての農地を、在村地主は一町歩(一ヘクタール)の保有地を除いたすべてを買収し、小作人に売り渡すというものであった。その機関として農地委員会が設けられたのである。そして農地委員会は地主三人、自作農二人、小作農五人の代表で組織されたのである。当時の記録によると、第二次町村農地委員は次の人々であった。
 
     第二次町村農地委員名簿
  大田原町 川口源作 塩田岩次郎 星野富次郎 長屋秀堅 石川広一 深田健 桜岡清作 印南松衛
       平山新吉 森下炫次郎
  親園村  佐藤要 村上郁四郎 国井売 小林栄 前沢林三 村上豊 福田伝 和久美雄 阿久津一郎
       荒川光直
  佐久山町 五十嵐登喜一 渡辺渡 大島小一 北原喜一郎 石田喜一 遠山保 渡辺栄 加藤健一郎
       菊地清 本橋市太郎
  金田村  菊池長 林田義雄 室井貞 五江渕兼蔵 殿生寿 近内近 竹内竹蔵 鈴木鉎男 代田半次
       大高博
(「栃木県農地改革史」)

 この農地委員会を通じて農地の買収、売渡しが行われたのであるが、その結果は、昭和二十年十一月二十三日現在の小作地二、九五七町九反歩(約二、九五七・九ヘクタール)、同二十五年三月一日には七〇二町二反歩(約七〇二・二ヘクタール)減少し、小作地率も四九・五パーセントから一一・三パーセントに減少したのである。買収された面積は二、四三二町五反歩(約二、四三二・五ヘクタール)で、買収をうけた地主は二、五一五人であった。このようにして売渡しを受けた小作農は三、五四四戸で、当時の農家の九〇パーセントを占めたのである(第10表)。このようにして、地主の農村支配は終り、自作農中心の新しい農村がつくられていくのである。
第10表 農地改革の概況表
大田原町親園村野崎村佐久山町金田村合計備考
農地面積542.31,729.8841.1888.32,471.15,972.6昭和20年11月23日現在
 自作地333.1586.1410.5499.11,185.93,014.7
 小作地209.2643.7430.6389.21,285.22,957.9
 小作地率38.652.351.243.852.049.5
 
買収済面積298.3516.6294.2290.91,032.52,432.5
所管換面積9.019.84.51.594.6129.4
  計307.3536.4298.7292.41,127.12,561.9
 
売渡済面積297.7534.9293.3290.31,053.22,469.4
 
農地面積755.51,341.6841.0890.32,413.06,241.4昭和25年3月1日現在
 自作地674.21,121.0703.8801.12,239.15,539.2
 小作地81.3220.6137.289.2173.9702.2
 小作地率10.816.416.310.07.211.3
 
個人地主
農地を買収された地主
 在村1311142431614721,221
 不在1242422071434871,203
法人団体
 在村1128815769
 不在2331422
 
売渡しを受けた戸数
受売渡戸数5055626314541,3923,544
農家数5796236235651,5323,922昭和22年8月1日現在
(「栃木県農地改革史」より作成)