大田原営林署

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大田原営林署の管内概要及び「栃木県史」(第九巻、田代善吉著)によると、沿革は次のとおりである。
 明治二十二年(一八八九)九月に大林区署の名称・位置・管轄区域等の改正があり、農商務省告示第一一号をもって、栃木県大林区署が宇都宮町に創設され、栃木県・福島県二県の所轄にかかわる官林の引継を受けて所轄したのである。
 同二十二年十一月、栃木県大林区署大田原派出所として大田原町郭内に開設され、那須郡一円の官林を所轄することになった。
 同二十三年十一月、大田原派出所が大田原小林区署と改称され、庁舎を大田原町成田町に建設、同二十四年三月に竣工・移転する。
 大正三年四月、小林区署の廃置分合が行われ、矢板小林区署は大田原小林区署に合併され、那須郡と塩谷郡一円を所轄することになった。
 同十三年十二月、官制改正により、東京営林局大田原営林署となった。
 同十五年四月、管轄区域の変更により、塩谷郡藤原村の国有林二、〇〇〇町歩(二、〇〇〇ヘクタール)が今市営林署の管轄に移る。
 昭和四年五月、営林署の廃置分合により、矢板町に矢板営林署が設置され、大田原営林署から分離した。
 同二十二年四月、営林局署の廃置分合により、前橋営林局大田原営林署となる。
 同五十三年現在の管轄区域は、大田原市・黒磯市及び那須郡一円と「農林省組織規程」によって定められた国有林野の管理面積は、二三、八八九・四〇ヘクタールである。
 大田原営林署の内部機構は、庶務課・経理課・経営課・事業課の四課、一五係、二製品事業所・一貯木場・一種苗事業所・八担当区の組織によって業務が行われている。

大田原営林署

 国有林の所在は、大別して那須地区と黒羽地区とに分れている。那須地区は造林地は少なく、天然広葉樹が大半を占めている。黒羽地区は八溝山系に属する所で、スギ・ヒノキの造林適地として、前橋営林局でも有数な所である。
 本市にある宇田川種苗事業所は、明治四十三年(一九一〇)に設置され、継続している。昭和三年ごろは、宇田川苗圃は面積約一二・七ヘクタールで、スギ五万本、ヒノキ一二万本、サワラ一万本の苗木が育成された(「大田原営林署沿革」)。
 今次の終戦当時までは苗圃という名称であったが、これが苗畑と改称され、現在は種苗事業所となり、面積は八・七三ヘクタールである。
 事業所の仕事は、戦前はスギ・ヒノキ・クヌギ等の種子より苗木を生産しただけであったが、戦後はその他に挿木・接木も行い、一時期には園芸樹種の育成から販売も実施していた(「緑とくらした四十年」)。
 現在、苗木の生産を行っている養成苗はスギ・ヒノキ等である。
 なお、大田原営林署及び管理面積は、第22表のとおりである。
第22表 大田原営林署の位置及び管理面積(昭五三・四・一現在)
(単位 ヘクタール)
所在地管理面積合計
国有林野附属地敷地小計公有林野等官行造林地
大田原市住吉町一丁目七の一二三、八七〇・六三一七・五〇一・二七二三、八八九・四〇一二三・二〇二四、〇一二・六〇
(「大田原営林署管内概要」)