大田原林務観光事務所

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大田原林務観光事務所の「林業と観光のあらまし」によると、昭和二十四年四月一日、那須地方事務所林務課として発足した。以後、機構改革等により同二十八年十一月一日、大田原林業事務所と改称された。その後、同五十三年四月一日、大田原林務観光事務所となり、機構は、総務・観光・事業・普及・経営の五課からなり、職員三二人で業務を担当している。
 その管轄は、大田原市・黒磯市・湯津上村・黒羽町・那須町・西那須野町の、従来北那須とよばれる二市三町一村で、地域面積は、一一二、九五五ヘクタールあり、森林面積は六五、〇九〇ヘクタールである。また、このうち二一、五九九ヘクタールは国有林で、民有林は四三、四九一ヘクタールである。
 森林の地域区分は、東部の八溝山地、西部の那須・高林山地・中央部の那須野が原などに大別されている。特に、東部の八溝山地は江戸時代から林業活動が盛んで、寛政年間(一七八九~一八〇〇)に興野隆雄が著した「太山(とやま)の佐知」という書物は、それをものがたっている。今でも植林事業上に役立つといわれるほどで、二〇〇年余にわたる伝統ある八溝林業地帯は、日光・高原とともに、本県の三大林業地に数えられている。
 那須・高林山地は大部分が日光国立公園内で、保安林に指定されているが、山麓の森林は別荘地に転用されている。また、この地域には戦後植えられた幼齢林が多く、新しい林業地であるため、人工林としてその育成に力を注いでいる。
 那須野が原は、アカマツと広葉樹の矮林が混交し、農用林としての活用が図られているが、別に農林家の有力な所得源としてのシイタケ栽培や、樹木の育成が積極的に進められている。しかし、近年農地や工業用地等の開発によって、アカマツの優良林は大分減少している。
 次に「栃木県林業統計書」による大田原林業事務所管内の市町村別所有林野面積を記すと、第23表のとおりである。
第23表 大田原林業事務所管内市町村・所有別林野面積 昭和五一年
(単位 ヘクタール)
区分総数国有林民有林
市町村名総数県営林公有林社寺有林私有林
大田原市二、〇〇三一〇一、九九三一四三〇二三一、九二六
湯津上村四二八四二三八六三七八
黒羽町一三、六三七三、〇三三一〇、六〇四一〇八二六九一三四一〇、〇九三
那須町二五、二二〇五、三五九一九、八六一六〇六四二六七七一八、七五二
黒磯市二四、四五九一三、七二八一〇、七三一一、六八三四五〇一七八、五八一
西那須野町一、二八三四七一、二三六一九一二一、二〇五
総数六七、〇三〇二二、二一九四四、八一一二、四一一一、一九六二六九四〇、九三五
一〇〇%三三%六七%三・六%一・八%〇・四%六一%
民有林の割合は四捨五入の関係で一致しない
(「栃木県林業統計書」)

 管内の市町村別所有林野面積をみると、北部の那須、高林山地である那須町・黒磯市と、東部の八溝山地である黒羽町地区に森林が多い。
 大田原市の林野面積は、北那須地区全体からみると総数で約三パーセントあり、その大部分が私有林で、大田原市林野面積の約九六パーセントに当たる。また、大田原林務観光事務所の「林業と観光のあらまし」によると、一九七〇年の大田原市の林家数は一、七〇一戸とあり、総土地面積に対して林野率は一四パーセントである。