大田原市森林組合

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森林組合は、「森林法」によって設立されたものであり、一定の地域内の森林所有者を組合員として、営利を目的とせず、森林経営の合理化や森林生産力の増進をはかるとともに、経済的・社会的地位の向上を期すことにある。
 大田原市の森林組合の設立経過等については次のとおりである。
 昭和三十一年九月十八日、森林組合設立準備公告をする。同三十年十月四日、大田原市役所において設立準備会が開催された。同三十年十月十日、定款作成委員会が開かれた。
 同三十二年四月十八日、那須庁舎において創立総会が開かれ、同意者三七四名中二五七名が出席した。総会において、役員として理事一〇名、監事三名が選ばれ、組合員資格として山林五反歩以上の所有者、出資金一口一〇〇円等が決められた。
 同三十二年五月二十二日、栃木県指令林政第二九〇号をもって、栃木県知事より設立許可を得る。この時組合員数は四五二名で、出資金七九九口、七九、九〇〇円であった。
 同三十三年七月八日、大田原市森林組合第一回総会が開かれた。
 組合員所有山林面積は一、三〇〇ヘクタールあり、当時の市全体の山林面積は三、五〇〇ヘクタールである。また、賦課金として、一組合割五〇円プラス一ヘクタール二〇円となった。
 同三十五年~同三十八年、市の山林三、五〇〇ヘクタール(市の面積一三、四六九ヘクタール)に造林が盛んに行われ、森林組合では苗木三五万~四〇万本を取扱った。植林は一ヘクタール当たり五、〇〇〇本~五、二〇〇本の密植が多い。同三十八年頃より開田ブームが起こり、大田原市の場合は一、〇〇〇ヘクタールが水田になり、続いて山林開発が重なり、ゴルフ場が三か所、工場敷地が一〇〇ヘクタール、その他住宅地として売買されて、山林はかなり減少した。
 現在は組合員数三一七名、出資金六二万円で、組合員所有山林六三八ヘクタール、市全体の山林面積は一、八二〇ヘクタールである。森林の樹種については約三八パーセントが針葉樹林である。
 大田原市森林組合の所在地は、大田原市中央一丁目九番九号、那須庁舎の大田原林務観光事務所内にあり業務を行っている(大田原市森林組合資料)。
 なお、「栃木県林政史」によると、旧金田村の今泉地区には、今泉愛林組合があり、県より林野愛護のための奨励金を受けている。
 これは、昭和四年十一月に県が「林野保護奨励規程」を公布したおりに、林野の火災警防・盗伐・その他の危害防止のために、見込み面積五〇町歩以上の林野保護区域を定め、特別の規約を設けて、山林保護活動をしている森林組合に対して、施設の経費の三分の一以内の奨励金を交付するというもので、参考までに次に記す。
組合名保護区域地区内林野面積組合員数奨励金交付額
今泉愛林組合那須郡金田村大字今泉一円一〇五町四六二〇三五円五〇
(「栃木県林政史」下)