第四節 近代工業

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 本市の工業は、戦前までは食品工業等の地方産業が中心であったが、昭和三十三年以降、機械・金属工業・精密工業等近代的な産業の進出が見られ、漸次その数を増して、順調な発展をとげてきたのである。
 年度順に進出してきた会社を記すと、次のとおりである。
 
 昭和三十六年九月
株式会社栃木ニコン
所在地 大田原市実取七七〇番地
当社は桜電子工業株式会社と称して、自動車用電装品の生産会社として発足したが、同三十八年十月日本光学工業株式会社の経営参加により、光学製品の製造へ業種転換、同四十八年十月、社名を株式会社栃木ニコンと変更した。
 日本光学株式会社は(大正六年創立資本金五七億二、九三五万円、商品名ニコン)は、世界的にも屈指の総合光学機械器メーカーである(株式会社栃木ニコン提供)。
資本金 三八、四〇〇万円
従業員 一、〇二八名
事業内容
 ニコンカメラ用写真レンズの製造
 ニコンメガネレンズの製造

 昭和三十七年
アサヒ合成樹脂株式会社
所在地 大田原市若草一、四七五
資本金 一、二〇〇万円
従業員 一一〇名
事業内容
射出成形一六台の各種全自動機により、精密工業部品、家庭電気部品等のプラスチック製品の生産、組立販売である。

高原食品株式会社
所在地 大田原市美原町三、五三八
資本金 一、二〇〇万円
従業員 一〇〇名
事業内容
 食品壜詰製造、製品は花らっきょう壜詰・葉唐辛子・メンマ・搾菜・胡瓜ピクルス等の壜詰。

 昭和三十九年
伸好舎大田原事業所
所在地 大田原市本町二、八三〇の四
資本金 一、〇〇〇万円
従業員 五三名
事業内容
時計歯車・メーター歯車・その他各種精密歯車製造・減速機の組立。

 昭和四十二年
日本特殊硝子工業株式会社
所在地 大田原市実取七六三~一
資本金 二、〇〇〇万円
従業員 一〇〇名
事業内容
硬質硝子電球・自動車用前照用レンズ・照明用レンズ・工業用テレビブラウン管映写球・信号用レンズ・集魚灯等。

田淵電子工業株式会社
所在地 大田原市若草一、四七五
資本金 九、〇〇〇万円
従業員 四二〇名
事業内容
テレビ・ステレオ・電子レンジ・電子計算機等電子機器の部品(主としてトランス)及びプリント基板の製造。

日本ファマシー株式会社
所在地 大田原市実取八〇三
資本金 二、〇五〇万円
従業員 六〇名
事業内容
 生物学的製剤の製造及び研究

(「七五・企業ガイドブック」)

 以上の工場は大田原市の誘致工場として、創立・発展してきたのであるが、地元の内にも戦後創立されたものがあり、その主な工場・会社は次のとおりである。
 
  本宮製菓株式会社
  創立  昭和二十六年
  所在地 大田原新富町一~九~六
  資本金 四五〇万円
  従業員 七〇名
  事業内容
   羊かん製造・販売・その他観光物産製造販売。
  有限会社北条光学レンズ製作所
  創立  昭和二十三年六月二十三日
  資本金 八〇〇万円
  従業員 一五〇名
  事業内容
   光学用レンズ研磨及び芯取コート加工。
  野岩木材株式会社
  創立  昭和三十四年三月
  資本金 八〇〇万円
  従業員 五〇名
  事業内容
   木毛セメント板の製造及び販売。
(「七五・企業ガイドブック」)

 このように、本市の工業は質量ともに大きく変化してきたのである。そして本市の昭和四十五年大田原市「工業統計調査」によって把握された事業所数は、一七三企業を数える(第7表)。
第7表 業種別事業所数
事業所構成比
食料品4626.6
繊維42.3
衣服その他74.1
木材・木製品2112.1
家具装備品126.9
パルプ紙加工52.9
出版印刷42.3
化学工業21.1
なめし皮,毛皮10.7
窯業土石84.6
金属製品105.8
一般機械器具31.7
電気機械器具137.5
精密機械器具148.1
その他2313.3
(昭和45年「大田原市工業の概要」)

 事業所を組織別にみると、法人七〇企業(四〇・五%)、個人一〇三企業(五九・五%)となり、昭和四十四年と比較すると、法人五企業の増、個人三企業の減となり、わずかではあるが法人化が進んでいる。しかし個人企業がまだ半数以上を占めているのである。業種別事業所数をみると次のとおりである。
 業種別事業数構成は第7表のとおり、食料品二六・六%、金属・一般機械・電気機械・精密機械の機械金属部門二三・一%、木材木製品・家具装備品の木材部門一九・一%となり、ここ三~四年の傾向をみると、食品及び木材部門は減少し、機械金属部門は増加している。
次に規模別事業所数においては、第8表のとおり、従業員三人以下の企業が六〇企業(三四・七%)、四~九人は五〇企業(二八・九%)となり、このように家内工業的企業が多く、三〇〇人以上は三企業だけである。
第8表 規模別事業所数
人数企業数構成比
3人以下6034.7
4~95028.9
10~192413.9
20~492313.3
50~99105.8
100~29931.7
300人以上31.7
(昭和45年「大田原市工業の概要」)

 業種別従業員数をみると、機械及び金属部門二、六九五人(六二・一%)、食料品七〇四人(一六・二%)となり、食料品は事業所の減少によって従業員数も減少し、機械金属部門は増加してきた(第9表)。
第9表 業種別従業員数
(4,340人)(昭和44年・4,221人)
従業員数構成比
食料品70416.2
繊維1192.7
衣服その他1353.1
木材木製品1523.5
家具装備品380.9
パルプ紙加工品140.3
出版印刷390.9
化学工業
なめし皮,毛皮
窯業土石2295.3
金属製品3167.3
一般機械器具491.1
電気機械器具1,14326.3
精密機械器具1,18727.4
その他1353.1
(昭和45年「大田原市工業の概要」)

 昭和四十五年の製造出荷額は、機械金属六九五、八四五万円(六二・三%)、食料品二四七、五六九万円(二二・一%)で、対前増加率においては機械金属三五・五%の増であるが、食料品においては一三・四%の増にすぎない。このように、機械金属においてはいずれの項目においても大きなウェートを占めるのであるが、その原因は中規模以上の力のある企業が、他業種より多いためである(第10表)。
第10表 製造出荷額 111億7千849万円
(昭和44年・85億3千4万円)
出荷額構成比
万円
食料品247,56922.1
繊維7,7430.7
衣服その他8,3710.7
木材木製品31,9292.9
家具装備品5,7230.5
 
パルプ紙加工品1,0710.1
出版印刷7,2210.6
化学工業
なめし皮,毛皮
窯業土石64,8635.6
 
金属製品125,79311.3
一般機械器具12,5091.1
電気機械器具342,73030.7
精密機械器具214,81319.2
その他24,8602.2
(昭和45年「大田原市工業の概要」)

 昭和四十五年における設備投資は、一位は精密機械器具、二位 金属製品、三位 電気機械器具となり、この三者で全体の八八・三%を占めている。これはこの三業種が比較的大型の企業であるからで、拡充できた結果が出ているわけである(第11・12表)。
第11表 設備投資
設備投資構成比
万円
食料品3,4232.6
繊維
衣服その他1,5941.2
木材木製品5280.4
家具装備品
 
パルプ紙加工
出版印刷1100.1
化学工業
なめし皮,毛皮
窯業土石5,4204.1
 
金属製品22,48217.0
一般機械器具1100.1
電気機械器具15,34811.6
精密機械器具79,05359.7
その他6810.5
132,363100.0
(昭和45年「大田原市工業の概要」)

第12表 企業の移りかわり
事業数比率従業員数比率生産額(万円)比率
昭和32年1571001,01210087,439100
〃3312579.684483.488,312101.0
〃3412982.21,133112.0103,931118.9
〃3514994.91,453143.6138,908158.9
〃3614290.41,673165.3185,975212.7
〃3714290.42,050202.6231,234264.5
〃38163103.82,486245.7294,830337.2
〃3914894.32,665263.3333,494381.4
〃4014994.92,737270.5371,101424.4
〃41173110.23,127304.1434,713497.2
〃42170108.33,280324.1507,177580.0
〃43173110.23,762371.7599,809686.0
〃44173110.24,221417.1853,004975.5
〃45173110.24,340428.91,117,8491,278.4
(昭和45年「大田原市工業の概要」)