昭和二十六年五月一日、「東京電力株式会社」が設立され、関東配電大田原営業所は、「東京電力大田原営業所」となった。
東京電力株式会社大田原営業所
東京電力株式会社大田原変電所
東京電力の発足にあたり、経営の二大方針として、(一)電源の拡充(二)サービスの向上をかかげ、供給力の拡充、いわゆる量的サービスの向上をまず打ちたてたが、同二十六・二十七年の冬の異常渇水と、電気産業労働組合の電源ストライキで、一般家庭の電気さえしばしば停電する事態に立ち至った。
大田原市域の供給変電所は、大部分が大田原変電所(山の手二丁目)から供給されているが、野崎石上地区には、矢板・西那須野両変電所から供給されている。
送電系統は、中岩発電所から玉生変電所を経由し、大田原線二回線により送電されている。大田原変電所の設備容量は、同四十五年までは、一八、〇〇〇キロボルトであったが、大田原市および近隣町村の一般電力・かんがい用電力の増加に加えて、最近の誘致工場の操業などにより、同四十六年四月増設工事を実施し、二二、〇〇〇キロボルトの設備を有している。しかしこの設備も全面稼動となるのは、四~六月のかんがい用電力の最盛期のみで、特に冬期においては、設備の約半分が遊休になるという地域的な特徴があり、また夜間には設備の九〇パーセントが遊休となっている。このため電力の有効な活用を周知させるとともに、設備遊休時の有効活用推進のため、電気温水器に代表される深夜電力を利用した機器の普及に、力をいれているのである。
現在大田原市をふくむ栃木県の電気は、八七パーセントが原子力発電で、あとは水力発電である。いわき・東海両原子力発電所から茂木変電所に送電され、宇都宮の変電所で電圧を下げて、西那須野・大田原市へ送電されてくるのである。
原子力発電所から 八七パーセント
猪苗代発電所から 七パーセント
県内の発電所から 六パーセント
(昭和五四年東電大田原営業所資料)
東京電力が発足してからの電気料金表、大田原管内の使用状況は第13~17表のとおりである。
改訂時点 | 26年8月 | 27年5月 | 29年10月 | 36年8月 |
項目 |
料金体系 | 適用範囲 | 改訂せず | 改訂せず | 従量電灯大口電灯の適用限度を6kwから3kwに下げる。 | 改訂せず |
小口,大口電力の適用限度を500kwから50kwに下げる |
料金制 | 大口電灯業務用小口,大口電力において最大需要電力は15分平均月最大電力に改訂 | 大口電灯において力率割引割増制度を廃止 | 追加使用料金制の廃止,従量電灯におけるアンペア制の採用大口電灯,電力における基本料金制の採用 | 30分デタンドの採用 |
その他の供給条件 | 契約または最大電力の決定 | 15分デタンドの採用(業務用電力) | | 最大需要電力を契約電力に改訂 | 契約最大電力の決定方法を改善(台数圧縮入力換算30分測定時限等) |
力率 | 小口電力でコンデンサーの有無により5%増減する | 大口電灯の割引割増制度を廃止 | 業務用小口,大口電力に力率割引割増制を採用 | 500kw以上の需要家に対し毎日8時から22時までの月平均力率を採用 |
負荷率割引 | 改訂せず | 改訂せず | 業務用電力は全使用量を対象小口電力は50kw未満にも適用 | 負荷率の段階別割引制を採用 |
特約 | なし | 昭和電工とのみ契約 | 特約制度を採用 | |
改訂の主な理由 | 投下資本の適正な回収の保証資本導入のための投資者に対する利潤の保証 | 燃料費,人件費等の原価不定 | 電源開発の進捗に伴なう資本費の増加 | 電源開発を発送電設備の拡充強化に伴なう資本費と燃料費の増加 |
料金値上率 | 1.30 | 1.28 | 1.11 | 1.137 |
(9電力加重平均) | ( 〃 ) | ( 〃 ) | ( 〃 ) |
電線路延長 | 電柱数 | 変圧器 |
電灯用 | 電力用 | 合計 | 台数 | 容量 |
m | m | m | 本 | 台 | K |
837,134 | 345,915 | 1,183,049 | 14,713 | 2,531 | 15,633 |
項目 | 需要家庭 | 台数 | 契約kw数 |
年度 | 定額 | 従量 | 合計 | 定額 | 従量 | 合計 | 定額 | 従量 | 合計 |
28年 | 465 | 310 | 775 | 465 | 325 | 790 | 1,163 | 1,049 | 2,212 |
29年 | 499 | 332 | 831 | 499 | 325 | 851 | 1,298 | 1,330 | 2,628 |
30年 | 532 | 354 | 886 | 532 | 371 | 903 | 1,383 | 1,333 | 2,716 |
項目 | 需要家数 | 使用灯数 |
年度 | 定額 | 従量 | 計 | 定額 | 従量 | 計 |
28年 | 4,783 | 2,845 | 7,628 | 11,080 | 21,010 | 32,090 |
29年 | 4,432 | 3,313 | 7,745 | 8,355 | 26,202 | 34,557 |
30年 | 4,076 | 3,761 | 7,837 | 7,541 | 28,848 | 36,389 |
| 契約口数 | 契約キロワット | 消費電力量 (MWH) |
電灯 | 定額電灯 | 1,365 | 105 | 450 |
従量電灯甲乙 | 9,598 | 10,187 | 12,830 |
従量電灯丙 | 165 | 1,535 | 1,990 |
小計 | 11,128 | 11,827 | 15,270 |
電力 | 低圧電力 | 2,520 | 7,560 | 3,780 |
業務用電力 | 10 | 970 | 1,015 |
高圧電力甲 | 21 | 2,527 | 13,420 |
高圧電力乙 | 2,151 | 10,325 | 12,500 |
農事用電力甲 | 2 | 2,700 | 4,512 |
小計 | 4,704 | 24,083 | 35,227 |
合計 | 15,832 | 35,909 | 50,497 |