公益質屋は庶民の金融機関として、営業質屋を補充する目的で設けられたものであり、昭和二年制定された「公益質屋法」に従って、市町村が運営するものである。設置費の二分の一の補助をうけて、野崎村公益質屋が開かれたのは、同七年のことであった。
貸付は一口一〇円、利率は月一〇〇分の一・二五、質流れは四か月としたものであったから、利用者は多かったのである。
利用者は農業者が一番多く、次いで小商工業者・俸給生活者の順になっていた。質物は衣類が九〇パーセントで大部分を占め、装身具が五パーセントを占めていた。
営業質屋では一日でも月を越せば二か月分の利子を取られたが、村営の公益質屋は日割計算であったので、利用者には大変うけがよかったようである。
しかし、同十二・三年ごろには利用者も少なくなり、まもなく閉鎖されたのである。