天皇東北巡幸

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明治九年(一八七六)六月二日、天皇御一行は奥羽地方巡幸のため、二頭立ての馬車で赤坂仮皇居をたたれた。金田村乙連沢六町歩地内高台の「明治天皇御駐輦記念」(昭和三年三月建碑)はこの折の小休所跡である。さらに同十四年の奥羽・北海道巡幸の際には往復とも旧奥州街道を通過されているので、「栃木県史」、「附明治天皇行幸年表」から、あわせて関連箇所のみ抜き書きして記す(第1表)。

明治天皇御小休所跡(大田原町)

第1表 明治天皇行幸年表
奥羽御巡幸 明治九年丙子(御年二十五歳)
  六月十一日   佐久山行在所  佐久山町   印南金三郎宅御泊
    十二日   親園      親園村    協同会社矢吹真一宅御小休
          大田原     大田原町   益子甚四郎宅御小休
          北ノ坂     金田村    仮営ニ御小休鍛冶窪ヶ原牧場御覧
山形秋田及北海道行幸 明治十四年辛巳(御年三十歳)
  八月 五日   佐久山行在所  佐久山町   印南彦太郎宅御泊
     六日   大田原     大田原町   益子甚四郎宅御小休
 十一月 七日   大田原     大田原町   益子甚四郎宅御小休
          佐久山行在所  佐久山町   印南彦太郎宅御泊
(「栃木県史」第一六巻 田代善吉)

 なおこのことに関連して、すでに同六年の太政官布告第九六号、「行幸之節御通筋通行ノ者旗章ヲ見受候ハ、車馬ヲ下リ笠并帽等ヲ脱シ総テ路傍ニ立礼可致事」が栃木県令から改めて布達されているのである(「栃木県史 史料編・近現代一」)。