佐久山町の反響

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明治二十七年(一八九四)三月に起きた朝鮮での東学党の乱を契機に、八月一日、日本は清国に宣戦布告をした。いわゆる日清戦争である。佐久山町役場ではこの年度の徴兵検査について、四月次のような告示をしているのである。
     告第二一号
  本年本郡徴兵署ノ検査ニ付左記之通ニ候条告示ス
    明治二十七年四月十四日
                                       佐久山町役場
  一 徴兵署    大田原町
  一 検査日割   五月三十一日
  一 所属町村   佐久山町外別五町村
  一 壮丁出頭時限 午前第七時
(佐久山・第二二)

 朝鮮では日本軍が優勢なる戦いを進めているなか、同役場から七月十七日の「官報」号外「平壌ノ捷報」を各区長を通じて、町民に告知している。
 一方、国内の緊迫した情勢も相続いて同町民に伝えられている。たとえば「馬匹徴発に待機準備」を指示したり、左記の「義勇兵結団の動向」、「待命兵員の心得」などによっても、その一端をうかがい知ることができる。
 
     告第五六号
  別紙之通本県知事ヨリ諭告相成候条一般ヘ伝達スベシ
    明治二十七年八月十一日
                                  佐久山町長 福原伊八郎
     区長 殿
 
     諭告
詔勅煥発各地ニ義勇兵ヲ団結スルノ挙アルハ其忠良愛国ノ至情ニ出ズルモ国ニ常制アリ民ニ常業アリ 非常徴発ノ場合ヲ除クノ外各其常務ヲ勤ムルコトヲ怠ラズ内ニハ益生殖ヲ進メ以テ富強ノ源ヲ培ヒ義勇兵ノ如キハ現今其必要ナキヲ示諭スベキ旨被 仰出タリ 就テハ人々其緒ニ安ンジ常務ニ勉励候様致スベシ 茲ニ勤テ 聖旨ヲ奉体シ諭告ス

    明治二十七年八月十日
                                    栃木県知事 佐藤暢
(佐久山・第二二)

 
     諭第六五号
待命召集ノ時機極メテ切迫ノ模様ニ候旨本日其筋ヨリ内通相成候ニ付テハ何時発令相成候哉モ難計候条各自其意ヲ得外出ハ勿論召集ニ際シ聊タリトモ支障無之様充分注意有之度此段及内通候也

   追テ応召ノ際ハ左記ノ諸物入用ニ候条予テ用意相成度此段申添候也
    明治二十七年九月七日
                                       佐久山町役場
   待命兵員殿
  一、召集令状
  一、印形
  一、軍隊手牒
  一、渋紙或ハ油紙 姓名札及麻縄
(佐久山・第二二)