大田原市-地域史資料デジタルアーカイブ:『大田原市史』後編

「佐久山町役場日誌」明治三十三年（一九〇〇）五月上旬の取り込んだ記事中、以下のような事柄が注目される。ただ、当地に中等教育機関を設置しようとする、県立大田原中学校設置問題については詳細を他章に譲る。

　五月二日　　曇ル　八十八夜
一　当夜暴風雨ノ事
　五月三日　　暴風雨　午前第十一時晴ル　夜雷

一　箒川出水四尺余ニシテ橋梁流失有恐ヲ見受候ニ付………第四部水防夫ヲ召集シ、橋上ヘ重石ヲ置キ流出ノ危害ヲ防禦シタリ

一　下町・中町・上町・桜町・岩井町ノ児童種痘ヲナス　出度者百中ノ七十ナリ
　五月四日　　天気
一　各堰々大破ニ付検査トシテ清水書記出張ス
一　箒川大橋大破ニ付荷車等ヲ注意ス

一　中学校ヲ大田原ヘ建設献納致ス義ニ付有志ノ賛成ヲ得度旨ヲ以テ、安藤直一・小口融四郎・増子甚四郎等来ル

　五月五日　　曇ル

一　来ル十日ノ御慶事拝賀ノ件並ニ中学校設置事件ニ付　各区長ヲ招集シ　夫々　談示致ス

　五月八日　　曇ル
中学校設置事件ニ付郡長ノ招集ニ依リ高橋助役出頭ス（中略）
　五月十日　　晴ル　休庁ノ事
本日左ノ賀表ヲ捧呈シ　夫ヨリ佐久山小学校ニ於テ拝賀式ヲ挙行シ　昼ヨリ御殿山ニテ有志ノ祝賀会アリ臨席ス
謹奉賀

　　　皇太子殿下御婚礼
　　　　右御執奏相成度候也
　　　　　明治卅三年五月十日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　栃木県那須郡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐久山町長　福原伊八郎
　　　　　宮内大臣子爵　田中光顕　殿
　　　謹奉賀
　　　皇太子殿下御婚礼
　　　　右言上相成度候也
　　　　　明治卅三年五月十日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　栃木県那須郡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐久山町長　福原伊八郎
　　　　　東宮大夫侯爵　中山孝麿　殿

（佐久山・第三〇）

　以上記事の要約は、箒川の洪水と、明治三十五年（一九〇二）四月十九日に開校される県立大田原中学校誘致の寄付金問題、そして皇太子嘉仁親王（大正天皇）御成婚式当日の佐久山町祝賀会についてである。