この十二年四月九日、朝日新聞社機「神風号」が、ロンドン=クロイドン飛行場に着陸した。六日に東京=立川飛行場を離陸して四日目、南回りの一五、三五七キロメートルを九四時間一七分五六秒の世界新記録で亜欧連絡飛行に成功したのである。国民は、特に大田原町民、大田原中学校関係者は歓呼の声をあげたのであった。この国産機の主任設計者が、大田原町出身で大正三年同校卒業の河野文彦(後に三菱重工業社長・会長等)であり、まもなく機影を現わす海軍戦闘機「零戦」の設計にもかかわりあった人である。
神風号飛行