駅舎は同三十年代には老朽化もはげしく、全国屈指の貧弱な駅のささやきもあり、市の都市計画で駅前から寺町方面へ道路の拡張整備がなされたのであるが、その機会に鉄筋の近代的な駅舎に改築する計画が進められたが、遂にそれは脚光を浴びずに終ったのである。
東野鉄道大田原駅舎
東野鉄道は同四十三年十二月十五日に廃止されたが、その敷地は、現在東野交通のバスターミナルとして使用されているのである。
第5~9表に示すのは、当駅に関する乗降人員調べ及び時刻表である。
第5表 各駅乗降人員調べ |
(自昭和一四・二 至昭和一五・一) |
駅名 | 普通 | 定期 | 団体 | 回数 |
人 | ||||
西那須野 | 一九〇、九四七 | 四二、四八〇 | 一六、一二二 | 三五〇 |
乃木神社前 | 一、三八七 | 七八〇 | 一、六七一 | |
成田山前 | 六九一 | 一七、五五〇 | ||
大田原 | 一三六、五五六 | 一二〇、〇〇〇 | 八、九九〇 | 一、三七五 |
中田原 | 七五九 | 一八〇 | 一二四 | |
金丸原 | 二〇、四二〇 | 九、七二〇 | 九、〇九九 | 一八一 |
白旗城趾前 | 五一二 | 一、四四〇 | ||
黒羽 | 九二、三七六 | 四五、三〇〇 | 九、七六〇 | 八四四 |
計 | 四四三、六四八 | 二三七、四五〇 | 四五、七六六 | 二、七五〇 |
駅名 | 計 | 一日平均 | 割合 |
西那須野 | 二四九、八九九 | 六八四・六 | 三四・二 |
乃木神社前 | 三、八三八 | 一〇・八 | 〇・五 |
成田山前 | 一八、二四一 | 五〇・〇 | 二・五 |
大田原 | 二六六、九二一 | 七三一・二 | 三六・六 |
中田原 | 一、〇六三 | 三・〇 | 〇・二 |
金丸原 | 三九、四二〇 | 一〇八・〇 | 五・四 |
白旗城趾前 | 一、九五二 | 五・三 | 〇・三 |
黒羽 | 一四八、二八〇 | 四〇六・二 | 二〇・三 |
計 | 七二九、六一四 | 一、九九九 | 一〇〇・〇 |
(「栃木県史 史料編・近現代七」) |
第6表 大田原駅乗降客者 |
乗者 | 降者 | |||||
総数 | 普通 | 定期 | 総数 | 普通 | 定期 | |
昭和36 | 425,549 | 206,729 | 218,820 | 462,069 | 243,249 | 218,820 |
〃37 | 414,126 | 190,896 | 223,230 | 451,268 | 228,038 | 223,230 |
〃38 | 400,802 | 169,772 | 231,030 | 433,215 | 202,185 | 231,030 |
〃39 | 380,064 | 152,244 | 227,820 | 401,039 | 173,219 | 227,820 |
〃40 | 302,897 | 116,507 | 186,390 | 301,630 | 115,240 | 186,390 |
(「市勢要覧 大田原」1966) |
第7表 貨物 |
品名 | 1日平均 | |
t | ||
発 | 米,麦,たばこ,葉とうがらし | 3.9 |
着 | セメント,肥料 | 5.7 |
(昭和34年大田原駅資料) |
第8表 大正年間の時刻表
第9表 全盛期を過ぎたころの時刻表
(昭和35年6月1日改正)
「大田原読本」(昭和十年発行)によれば「大田原停車場」については次のように記されている。
大田原停車場は町の東北寺町にあって、東北本線西那須野を起点とする東野線の要駅である。(中略)大田原駅より西那須野駅までは九分、黒羽駅まで十七分、終点である那須小川駅までは四十分を要し、那須郡中部を連絡する重要交通機関となっている。
大田原町はこの鉄道の為に駅前の道路は広められ、荒町通りへ通ずる道路も出来て、町は目立って立派になり、活気をみせて来た。駅前は乗降者によって賑ひ、貨物置場には、貨物が山と積まれるやうになった。近年は発着の貨物も増加し、客車貨物車の発着もしげく、乗降客の数は一年間におよそ十一万人に及んでいる。
大田原町はこの鉄道の為に駅前の道路は広められ、荒町通りへ通ずる道路も出来て、町は目立って立派になり、活気をみせて来た。駅前は乗降者によって賑ひ、貨物置場には、貨物が山と積まれるやうになった。近年は発着の貨物も増加し、客車貨物車の発着もしげく、乗降客の数は一年間におよそ十一万人に及んでいる。
東野鉄道時刻表(昭和35年6月1日)
大田原駅で取扱われる貨物は、其の数が多く種類もまた少なくない。発送貨物は主に隣り村から積み出される農作物であって、米・麦・煙草・小麦が大部分を占めている。米は野州米として東京・横浜方面に送られる。小麦は宇都宮・小山方面に送られ、大部分は製粉の原料となっている。なお大麦・漬物等も発送貨物の重要なものであって、漬物は遠く北海道や樺太にまで送られるとのことである。到着貨物の主なるものは農家で使用される諸種の肥料が大部を占め、駅から各地の肥料商へ運ばれる。其の他セメント・石炭・大豆・織物・煙草・ビール・揮発油等も到着貨物の重要なものである。
大田原駅から宇都宮駅までおよそ一時間二十分にして達することが出来、東京上野駅までは三時間半、本州の北端青森へも僅か十五時間にして到着することが出来る。
大田原駅から宇都宮駅までおよそ一時間二十分にして達することが出来、東京上野駅までは三時間半、本州の北端青森へも僅か十五時間にして到着することが出来る。