手動時代

949 ~ 954
大田原郵便局が、電話交換業務を開始したのは、明治四十二年(一九〇九)三月一日である。
そのころ使用された電話は、デルビル磁石式壁掛電話機であった。横についているハンドルをグルグルまわす磁石発電機を用いたので「磁石式」と呼ばれたのである。磁石式電話は、いちいち局の交換手を呼び出して、相手の電話につないでもらったわけである。
 昭和四年の電信電話業務は、次のとおりである。
 
  大田原局
   電報受 一一、四九二箇
     配 一二、七一八箇
   電話加入者 一七八
   度数 九七〇、五三五回
  佐久山局
   電報受  一、九一九箇
     配  二、八一四箇
   電話加入者 三〇
   度数 五、五五七回
(「逓信六十年史」)

 昭和十四~五年代の大田原町の電話早見表を見ると、当時の電話加入者は官庁・会社・学校・商店などが九割をしめているのである。
 電話番号に零番があり、不吉な番号は官庁学校などにみられ、呼び出し番号は片仮名でイロハ順であったのである。第二次大戦前の「電話早見表」への加入数は二三一台であった。
 同二十二年の大戦後の「電話早見表」になると、呼び出し番号は平仮名であいうえお順となり、同早見表に記載されている台数は二七一である。参考のため第3表にその一部を紹介する。また電信電話に関する諸統計をあげる(第4~9表)。
第3表 電話早見表(抜粋)
公衆電話用電報託送用
三〇〇事務一般用
五〇〇電話公換事務用
一五五局長住宅用
六〇障碍試験用
官公署
大田原町役場
三九大田原税務所
四一大田原土木区
四二大田原中学校
四四大田原警察署
四六大田原営林署
四九大田原小学校
七四大田原専売所
二三〇東野自動車部集荷所
一五三東京日日新聞通信部
一七〇東京朝日新聞通信部
チ之部
二三千葉屋商店
一二五親園信用組合大田原支庫
二〇二千代藤
オ之部
一二大田原印刷会社
一三大和田三次郎
二五大野小児科院
三七大田原見番
四七
五五扇家

電話番号 加入者
  一 佐藤庄五郎
  二 高久鉄工所
  三 川上鉄店
  四 大田原町役場
  五 若林五郎平
  六 スルガヤ呉服店
  七 那須屋呉服店
  八 川上薬局
  九 海老根薬局
 一〇 足利銀行大田原支店
  (昭和十五年ころの大田原電話早見表)
第4表 年次別電報取扱数
年別内国外国中継信
発信着信発信着信
昭2713,66914,1602513,989
〃2814,78215,1931115,091
〃2913,64613,652114,282
〃3015,85417,70330,758
〃3111,48911,71539,463
(「市勢要覧 大田原」昭和32年)

第5表 電報の利用状況
大田原電報電話局
年次内国電報国際電報
総数発信着信中継総数発信着信中継
昭3472,14914,40417,69340,052
〃3575,58215,12518,73841,719
〃3680,78516,56621,34842,8711495
(「市勢要覧 大田原」昭和37年)

第6表 電話
大田原電報電話局
市内線路加入者数交換取扱従業者数
年別架空ケーブル地下ケーブル電柱
mm
昭275,70157290447922
〃289,6331,02686556122
〃299,7951,02693560825
〃3012,5871,0261,04567830
〃3113,2405171,28572032
(「市勢要覧 大田原」昭和31年)

第7表 施設概況及び通話状況
項目加入総数人口百人当り市外関係数公衆電話交換要員市外通話数
年次
昭274793.415222324,411
285613.319222382,987
296083.721225409,112
306783.522330465,629
(「市勢要覧 大田原」昭和35年)

第8表 地区別電話利用状況
昭35.10各局調
局名加入者数公衆電話数通話数(1日平均)
総数市外市内
大田原8431621,1212,06919,052
金田3251138429
親園3011209030
野崎833252148104
佐久山1038694132562
総数1,0913322,3002,52319,777
(「市勢要覧 大田原」昭和35年)

第9表 電話の利用状況
( )内の数は1日当りの数を表わす
区分市内通話数市外発信通話数市外着信通話数市外中継通話数
昭34(4,233)(846)(1,023)(234)
1,545,193309,014373,54485,666
〃35(4,366)(1,043)(1,141)(276)
1,593,766380,832416,570100,956
〃36(4,781)(1,121)(1,222)(307)
1,745,177409,519446,136112,230
(「市勢要覧 大田原」昭和37年)

   公衆電話施設        昭和36年
    公衆電話(ボックス)     5
    委託公衆電話         57
    簡易公衆電話         5
(「市勢要覧 大田原」昭和37年)