国家主義的な教育が定着し、画一的な教育が行われている中で、本県下には新しい教育の方向を研究する学校や教育団体があらわれてくる。
同十三年(一九二四)「自由教育」として、河内郡古里村白沢尋常高等小学校において研究実践が続けられ、翌年には第一回の自由教育研究発表会を開いて、各方面に大きな影響を及ぼした。
この自由教育の実践は、町長をはじめ町役場関係者の協力を得て、町と学校が一体となって積極的な研究推進がなされ、各方面からその実績を高く評価され、県内の教育界に大きな波紋を投げかけたのである。
やがて研究がすすむにしたがい、従来教師中心であった教育を、児童の側に立った児童本位の学習活動に方向を変えるようになり、考え方が詰め込み主義の教育から、児童の自発的な学習を育てる方向へと発展し、県が、「自発的学習態度養成を基調とする学習指導」を打ち出すことによって、栃木県独自の教育方針として推進されるようになった。
以後、各地で「自発的学習態度」の研究がすすめられるようになり、県では次の五つの小学校を研究学校に指定した。それは今市尋常高等小学校・足利尋常高等小学校・大田原尋常高等小学校・栃木第一尋常高等小学校・宇都宮中央尋常高等小学校等である。
県北においては大田原尋常高等小学校が研究をすすめ、先進校としての役割を果たしている。