体育の普及

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昭和三年、国の体育運動審議会の第二回総会において、「知育偏重の弊を除き体育の普及を図る」ために「在来の武道は固より広く内外の運動種目にわたり、その長をとり短を捨て、特に精神の修養を留意する」ことが定められ、十一月三日(明治節)を体育デーとすることにし、こうした方法で全国的に体育の普及をはかった。
 次に示すのは同十年ころの大田原地方の体育増強、健康増進に関することがらについての資料であるが、当時の国策強調のようすが明らかにうかがえる。
 
   御知らせ
「健康は体操から」と言うので始まりましたラヂオ体操は益々全国に広まりまして、今日では多数国民の日常行事の一として実施されるようになりましたことは、国民体育発展の上から誠によろこばしい事であります。我が大田原町に於ても例年の通り左記日時に依り第三回ラヂオ体操の会を大田原小学校庭に開催致すことになりました。御承知の通りラヂオ体操は九千万同胞一人残らず此の体操の実行者にしようと言う大理想の下に創始されましたのでありますから自然運動が過激でなく、其の方法も極めて簡易に出来るよう組み立てられてあります。
何卒皆様、国民体位の向上のため延いては国運発展の途を一層進めることの出来ますよう奮って御参加下さる様御願い致します。
一、期間 八月一日より八月二十日まで
二、参加者 大田原町民一般
三、実行方法 毎朝六時より約二十分間ラヂオに合せて指導者と共に一斉に体操を行う。但し雨天の際は講堂内にて行う。
主催 大田原町役場・大田原高等尋常小学校
後援 大田原郵便局

(学校・第七)

   執務報告
 昭和十二年一月分
                              栃木県那須郡大田原尋常高等小学校
                                   学校看護婦 松本ハル
一、設備衛生
(一)日常授業前換気採光保温ニ注意シ適当ナル時各校舎校庭ヲ巡視シ清潔状態及掃除用具類ノ整頓破損個所ノ発見等ニ努力シ適当ナル処理シタリ
二、児童視察
(一)日々児童ノ健康状態ニ注意シ顔色悪キ者又元気ナキ児童ニハ其ノ理由ヲ尋ネ適当ナル処置ヲ施セリ
(二)時折授業参観ナシ児童ノ姿勢学用品ノ使用法其他衛生方面ニ注意セリ
(三)休憩時ニ時々児童ニ交リテ身体衣服ノ清潔ニ注意シ児童各々ニ身体各部ノ衛生的ナラン事ヲ進メタリ
(四)感冒予防法トシテマスクノ使用及ビ嗽(ウガイ)ヲ奨励セシメタリ
三、校内治療
(一)傷病児数延人員二八四名
頭痛三六 腹痛五二 擦過創三八 切傷二一 腫物一七 脳貧血八 風邪一八 湿疹二二 悪心嘔吐六 鼻血一一 歯痛一六 打撲傷 七 突指 八 凍傷一二 タムシ一二

右ノ中腫物、湿疹、凍傷ハ毎日薬品ヲ塗布シ繃帯ヲ施セリ

(二)トラホーム洗眼児数一七六名毎日洗眼施行ス
(三)トラホーム児ニハ特ニ手拭鼻紙ノ持参ニ注意与フ
四、其ノ他ノ事項
(一)毎週土曜日午後一時ヨリ二時マデ校医来校ニナリ児童健康相談ニ預ル其ノ介助ニ努ム
(二)毎週土曜日痰壷便所等ノ消毒ヲ施行ス
(三)学校給食施行ス
(四)衛生室、宿直室ノ寝具ノ消毒ヲ施行ス
(五)病欠児童ノ家庭訪問ス
(六)感冒予防心得ヲ児童ニ通ジ家庭ヘ配布セリ
(七)校医増山先生御来校ニナリトラホーム治療検診施行ス其ノ介助ニ努ム

(学校・第八)

   大田原尋常高等小学校
 感冒予防ニ就テ、学校ヨリ家庭ヘ
一、マスク奨励シテ下サイ外出ノ際ハ必ズマスクヲ使用サセテ下サイ。
二、ウガイノ奨励ヲシテ下サイ、外出先ヨリ帰宅直後ニハ必ズ食塩水硼酸水又ハ微温湯ニテウガイヲサセテ下サイ。

三、室内ニ湯気ヲ立テテ空気ノ乾燥ヲ出来ルダケ防イデ下サイ。
四、夜ハ早ク寝セテ十分睡眠ヲサセテ下サイ。
五、胃腸ヲ健全ニシテ栄養ヲ高メル様ニ注意シテ下サイ。
六、活動写真・芝居等ノ多人数集合スル場所ニハナルベク立チ寄ラセヌ様ニシテ下サイ。

七、入浴ハ出来得ル限リ外出後ニサセテ下サイ。
八、衣服ヲ更フル場合ハナルベク入浴ノ際ニ準備シ置キ更衣シテ下サイ。
 
児童健康(一切無料)相談
  年中 土曜日 午後一時ヨリ二時迄
    (小学校衛生室ニ於テ)
                                担当校医  増山兼吉
                                      小倉正信
 
 一月二十日

                                  大田原尋常高等小学校
(学校・第八)