国民学校の目的は、「国民学校令」第一条に「国民学校ハ皇国ノ道ニ則リテ、初等普通教育ヲ施シ、国民ノ基礎的ナ錬成ヲ為スヲ以テ目的トス」とあり、戦時体制下の小国民を戦争遂行のために役立つよう、心身をきたえることを明確にし、教育目標に国家主義的思潮を強調し、教育の内容・編成・方法・教員の組織・待遇までも改めて、戦時教育体制を確立するものであった。
制度上の改革として、次のようなことがあげられる。
一、義務教育の年限が八年に延長される。
二、国民学校の課程を、初等科六年・高等科二年とする。
三、高等科第二学年修了後特修科一年を置くことができる。
四、就学義務の徹底をはかる。
この中で八年の義務教育は同十九年度から実施の予定であったが、戦時非常措置によって延期となり、実現されないまま終戦となった。
教育の内容上の改革として、皇国民としての基礎的錬成の資質内容を示している。
一、国民精神を体認し、皇国の使命に対する自覚を持たせるため、教科として国民科(修身・国語・国史・地理)をおく。
二、合理創造の精神を体得して、国運の進展に貢献できるようにするため、理数科(算数・理科)をおく。
三、剛健な心身と献身奉公の実践力をつけるため、体錬科(体操・武道)をおく。
四、芸術的、技能的な表現力をもち、生活を充実させるため、芸能科(音楽・習字・図画・工作・裁縫(女)家事(高女))をおく。
五、勤労を愛好し、職業報告の実践力をもたせるため、実業科(農業・工業・水産)をおく。