青年団

1188 ~ 1197
地域生活に基盤をおく勤労青少年の、自主的な教育活動を目的とする青年団は、封建社会においては、若者組・若衆組と呼ばれた地域の青年集団で、明治維新以来は新しい社会体制の発展に伴って、役割や内容に変化をもった集団と変ってきた。日清・日露戦争に際しては、戦時意識の高揚等の諸活動を行い、その存在が注目されるようになった。明治三十八年文部省は青年団の設置、奨励および指導育成に関与し、大正四年政府は、青年団運営の基本方針を示して性格を明らかにし、組織を強化した。昭和二年青年団の全国統一がなされ、大日本連合青年団が成立、従来は「処女会」の名のもとに組織されていた女子青年も大日本連合女子青年団として統一された。
 同十四年四月青年学校が義務制となるにいたって、構成員をその組織に吸収されたので、青年団は機能を弱め、さらに同十六年には大日本青少年団が結成され、ここにすべての青少年団体は統合され、軍事的動員組織に編成されるのである。それにしても、青年団は戦前の社会教育の中心的存在となっていたのである。
大田原町青年団
創立年月不詳であるが、大正六年十月改称発団式を行っているので、それ以前に他市町村と同じころ発足していると推察される。青年団の設置奨励される明治三十八年前後に青年会の名が残されている。事務所大田原小学校内、支部数一五支部、団員一六二名(昭八年)、団長吉沢修隆。
大田原女子青年団
創立昭和二年三月、これ以前は大田原処女会として大正十二年一月に結成された。会長竜妙子、事務所大田原小学校内、団員数七四名(昭八年)、団長若葉佐吉。事業概要、教養(家事・作法・講習)・体育・娯楽(遊戯・茶話会)・社会共同(出征軍人家族慰問・結核予防デー宣伝)

(大田原・第二九)

金田村青年団
創立年月不詳、古くより村内にある青年会が連合し、大正五年金田村連合青年会を創設、同十五年金田村青年団と改称。事務所金田村役場内、団員数四十余名、支部数七支部、団長印南充。
金田村女子青年団
創立年月不詳、従来各学校内に組織されていた処女会を以って連合組織して、昭和四年二月金田村女子青年団と改称。事務所金田村役場内、支部数七支部、団長渡辺宇平。

(「金田村郷土誌」金田学事会編)

親園村青年団
創立年月不詳、事務所親園小学校内、団員数一四二名、団長渡辺武。昭和五年文部省より表彰される。

(「栃木県史 史料編・近現代八」)

佐久山町青年団
創立明治四十三年八月、団員数一三五名、団長鈴木三男。事業概要、教化(団報発行・巡回文庫・一夜講習会・座談会・講演会)、社会方面(諸宣伝・労力奉仕)他。事務所佐久山小学校。
佐久山町女子青年団
創立明治三十八年一月、事務所佐久山小学校、団員数一二一名、団長久利生万寿。事業概要、教化(講習会・講演会・談話会)、産業(農芸及手芸品展覧会)、社会(宣伝・敬老会)。

(「郷土地誌資料」佐久山小学校所蔵)

野崎村青年団
創立明治三十八年下石上青年倶楽部、同四十一年薄葉青年農友会、同四十二年上石上青年義務会、同四十二年平沢青農会各々設立され、同四十五年野崎村連合青年団を組織、大正五年野崎青年団を創立、事務所野崎村役場内、団員数一一二名、初代団長小野崎正雄。事業概要、運動会・講習会・品評会・見学旅行・雄弁会等。
野崎村処女会
創立大正十一年三月、事務所薄葉小学校内。支部を薄葉(団員数四五名、支部長相沢キヨ)・石上(団員数四七名、支部長渡辺三代松)・豊田(現矢板市)に置く。事業概要、講話・講習・研究会等の開催。風俗・習慣等の改善励行、敬老会・其他の公益事業他。

(「郷土の研究」薄葉小学校所蔵)

 
   大田原町青年団規定
   第一章 通則
第一条 本団は大田原町青年団と称し事務所を大田原小学校内に置く
第二条 本団は本町在住の青年を以て組織し団員相互の親睦を厚うし実際生活に必要なる知徳を練り躰力を鍛へて健全なる国民善良なる公民たるの素養を得るを以て目的とす

第三条 本団の目的を達するため綱領を定むること左の如し
   1 忠孝の本義を躰し愛国の精神を発揚すること
   2 自治の訓練に力め公共的精神を涵養すること
   3 勤倹力行を旨とし質実剛健の気風を養成すること
   4 身心を練磨し品性の向上、体力の増進を図ること
   5 実際生活に鑑み適切なる智能を啓発すること
第四条 前条の綱領に従ひ実行すべき主なる事項左の如し
 △体育部
一武術
柔道及剣道を本町所在の道場に於て練習し小学校職員其他の指導を受く、年一回又は二回支部対抗の大会を開催す

二各種の運動
 本部に運動具を備ひ置き小学校、女学校、中学校庭に於いて随時行ふ
三運動会の開催
 春季及秋季に本部に開催し支部単位に優勝旗の争奪を行ふ
四旅行
 各支部にて随時に行ふもの、本団の主催を以て初夏の候に実施するもの
 △学術部
一実業補修学校の就学励行
二各種講習会の開催
三講話会、弁論会の開催
四会報の発行
五研究発表会
 △事業部
一道徳設置
二衛生設置 プール経営等
三交通の便利を図ること
四軍事上の後援
五幼老者の保護
六神社、仏閣、学校等公共事業のためにつくすこと
七善行者の表彰
 △農芸部
一学術者を顧問とし農芸の技術的研究をなす
 △経済部
一創立当時の規約に見えざるも団員の多数が商工業に従事せるを以て後日この一部を加ふるに至りたるもの

二商家の経済、農工業経済等につき研究せんとす
 △庶務部、会計部(省略)
   第二章 団員
第五条 団員を分ちて左の二種とす
一団員 本町に居住し義務教育を了へ又は学令を超えたる男子にして満三十歳以下のもの、但小学校以外の学校に居住する者はこの限りにあらず

二賛助員 団員にして満三十歳以上のもの、及本団に功労ありと認めたるものにしてその推薦によるもの

第六条から第十三条(省略)
 
昭和五年度予算案
 歳入の部   二七五円
  町補助金  一〇〇円
  事業収入  一六〇円
    (プール設置寄附金、郷土祭典奉仕、運動会寄付金其他)
  繰越金   一五円
 歳出の部   二七五円
  総会費   三〇円
  事務所費  二三円
  事業費   二二二円

(「郷土教育資料(一)」大田原小学校所蔵)

 
   金田村女子青年団 団則
第一条 本団ハ本村在住団員相互ノ親睦ヲ厚ウシ実際生活ニ必要ナル智徳体力ヲ涵養増進スルヲ目的トス
第二条 本団ノ目的ヲ達スルタメ綱領ヲ定ムルコト左ノ如シ
 一忠孝ノ本義ヲ体シ愛国ノ精神ヲ発揚スルコト
 二品性ノ向上ヲ図リ温良貞淑ノ徳ヲ養成スルコト
 三公徳ヲ重ンジ家事ニ精励シ勤倹ノ風ヲ作与スルコト
 四摂生ヲ旨トシ身体ノ健全ヲ図ルコト
 五実際生活ニ鑑ミ適切ナル智能ヲ啓発スルコト
第三条 本団ノ綱領ニ従ヒ実行スベキ主ナル事項左ノ如シ
 一講習会、講演会、研究会等ノ開催
 二学校図書館、婦人会等ノ団体トノ連繋
 三良風美俗ノ維持発達
 四生活ノ改善
 五適切ナル遊戯運動
 六老幼者保護、其他ノ公益事業
 七手芸品評会等ノ開催(以下略)

(「金田村郷土誌」金田学事会編)

 
     佐久山青年団歌
          大正八年大田原中学校蓮実(長)教諭作 (アムール河の歌の譜)
  一、雲に火を吐く那須岳の
    大野に花の佐久山や
    新世告ぐる暁の鐘
    撞く若人の意気を見よ
  二、三国一と謳はれし
    那須の与市が此の土に
    武士の魂鍛へてし
    歴史を知るや我が友よ
  三、世の塵払ふ箒川
    啓示籠れる水の音
    聞け改造の響あり
    若き血汐の躍らずや
  四、社会奉仕の旗をたて
    汗と愛とを宣伝つゝ
    理想の文化進めばや
    起て我が郷の健男児
(「郷土教育資料」佐久山小学校所蔵)

  那須郡北部連合青年団
  事務所 大田原中学校
  団長  大田原中学校長 大野清吉
  副団長 商 吉沢修隆
(「栃木県史 史料編・近現代八」)