従来、江戸幕府の保護下にあって、寺院統制や檀家制度によって、幕府政治の一端を担っていたのであるが、新政府が王政復古の方針を掲げることによって、政治的・行政的保護は廃されたのである。具体的には明治政府の国家神道の方針によるものであるが、経過をたどると次のようである。
明治三年(一八七〇)無住の寺院調べから明細書提出にはじまり、同五年(一八七二)太政官布告による廃寺命令により、無檀家・無住寺院や堂宇は廃寺、あるいは既設寺院に帰属しなければならなくなったのである。
本市においては、三四の寺院が廃寺となっており、それらの創建年代、廃寺年代ともに明確にできないが、「大田原市史前編」寺院総説・別表二に廃寺一覧が記されているので、参照されたい。
一方、明治以降に創建された寺院は次のとおりである。
寺名 | 所在地 | 宗派 | 創建 | 開山 | 開基 | 本寺 |
遍照院 | 本町 | 真言宗 | 明治十七年(一八八四) | 及川照龍師 | 成田新勝寺 | |
護法寺 | 荻野目 | 日蓮宗 | 昭和二十三年(一九四八) | 中島本要 | 大田原正法寺 | |
本光寺 | 佐久山 | 日蓮宗 | 昭和十年(一九三五) | 慈朝院晃上人 | 大田原正法寺 |