形振(扇取)一人、横笛四~五人、鍬叩き一二人(少女)、太鼓打二人、旗持一人、形振らは踊手の頭で滑稽に演ずる「シテ」役である。薄紅色の頭巾を被り、茜の丸帯を背に結んで、その両端が膝まで垂れる。前方には力士が着ける化粧廻しのようなものを付け、茜色の脚絆をはき、裾を高くあげ、日月を描いた大軍配団扇を持ち、腰に長瓢箪及びドーランをつける。鍬叩きは白の鉢巻、花笠を被り、青白のたすきを掛け、縞の脚絆、白足袋に草鞋をはき、腰に紙製の柳の枝を挿し、茜色のむかばきを付け、裾をからげ鍬(柄を取り去った鍬先の型を模造したもの)と、これを打つ鍬打鉄と称する棒状の鉄を持つ。太鼓打ちはニワトリの羽根で造った鶏冠に似せたものをかぶり、紺地竜浪の上衣を付けて、同じ裾模様の袴をはき横に長い太鼓を腹部につけ、両手に撥を持つ。笛吹きは頭に花を挿した方形の笠をつけ、太鼓打ちと同じ仕度である。以上の者が調子を合せ舞うさまは、城を築く人夫が働く光景を髣髴させる。なかでも形振の踊るさまは「サッサッサアー」と呼びながらあたかも人夫を督励しているようである。
城鍬舞
栃木県無形文化財 城鍬舞
栃木県連合教育会編
栃木県わらべ歌民謡集による