演奏に使用する楽器は、鞨鼓・鉦鼓・太鼓・横笛・笙・篳篥の六種で、演奏曲目は越天楽・五常楽などを得意としている。
芸能のこの土地への伝来経路、伝承年代などは一切不明であるが、明和二年(一七六五)銘のある仙台侯寄進の笙があることや、慶応年間(一八六五~一八六七)日光東照宮楽人の指導を受けたとの口碑伝承の存在から判断して、江戸末期にはすでに存在していたものと考えられる。演奏される日は、この寺の報恩講及び春秋彼岸の仏念の日が定例のもので、その他部落内の葬儀や婚礼などにも招待され演奏することがある。
長い歴史と伝統をもって、農民間にこの種の雅楽系の芸能が伝承されているのは、本県では珍しく、貴重な存在である。
正浄寺の雅楽