二三 十一面千手観自在菩薩

1367 ~ 1368
 時宗不退寺本堂に安置されている十一面千手観自在菩薩は、木彫漆塗立像で丈一・五〇メートル、頭部の高さ〇・二七メートル、足の踏み幅〇・三メートル、作者不明であるが、南北朝時代(一三三四~一三九二)の作風を伝える貴重なものである。
 この像は頂上に十一面を具し、各々身上に四十手を具足している十一面千手観自在菩薩像である。
 この千手観音は、天文十四年(一五四五)大田原資清が大田原城を構築後、城の四方固めの一つとして東方中田原湯泉坂のふもとに、堂宇を建立して祀ったものと言われ、朝日観音の別名がある。堂宇荒廃後不退寺本堂に移されたものである。
 口碑に大田原に過ぎたるもの三つあり、朝日観音と下町薬師と河野先生とも言われ、その一つの朝日観音である。

十一面千手観音像